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コンサルタントが顧客からプロコン問題・選択肢問題を突き付けられたときの正しい態度とは?

■ あなたは、顧客や上司から課題解決策の提示を求められたときにどう回答していますか?



経営コンサルタントを生業にしていると、常にクライアントから質問を受けます。例えば、管理会計制度の再構築プロジェクトにおいて、

「本社費の配賦基準として、A案:在籍人員数がいいか、それともB案:売上高がいいか?」

並みのクライアントならば、「A案とB案のメリット・デメリット対比表を作成してくれ」と作業要求し、同じく並みのコンサルタントならば、一生懸命に与えられた命題に対して、メリット・デメリット表(プロコン表)を作成して顧客の期待に応えようとします。このコンサルタントの対応姿勢のどこに問題があるか理解できますか?

何らかのクライアントからの作業要求、解決施策提案要求について、我々コンサルタントが留意すべきなのは、そのようなお題が内在的に持っているジレンマというか、構造的な落とし穴への対処法を必ず応答に練り込んでおく必要があることなのです。

「A案かB案かどちらが良いか回答をくれ」という類の命題を提示された時、

(1)フレームワーク問題
(2)クライテリア問題
(3)適切性問題(解決性問題)


の3層構造でその命題が成り立っていることを意識して、回答を用意しなければなりません。


■ クライアントから提示される命題の3層構造とは?



(1)フレームワーク問題
そもそも、前章で例示した命題は、最初から「本社費」を「配賦」することが大前提になっています。そもそも、何のために本社費を配賦しなければならないのでしょうか? そして、配賦後の原価または損益情報を誰が何の目的で使用するのでしょうか? 命題が与えられたら、それを一生懸命、証明・解答することに傾注してしまう。まさしく、受験勉強におけるテスト訓練の負の賜物です。まずもって、提示された問題の真偽や意図を疑うことを知らないのです。

小職ならば真っ先に次のように、作業依頼に対して質問で返します。
「どういった目的で本社費を配賦しなければならないのですか?」
言外に共通費を配賦して得られた損益情報の資料性にそもそも疑いを持っているからです。

(2)クライテリア問題
命題を疑うことを知らない若手コンサルタントから、次はこのような相談を受けるのが常です。「メリット・デメリットが思いつきません。過去に同じような問題を扱った事例はありませんか?」これも、受験勉強の弊害です。過去問をいくつか解けば、正しい答えが導けるという安直な考え方です。

間接費の配賦基準の選定ポイントとして、例えば、
① 資料の入手困難性や経済性
② 配賦目的への適合性
③ 配賦結果利用の他業務への影響度
など、判断基準・評価基準(クライテリア)を先に考えるべきです。その判断軸は、その該当する命題をそもそも思いついたクライアントの動機(経営課題)、または実行した際の運用難易度、実現した時の関係者のリアクションなど、その命題から一歩引いたところから、命題が包含されるビジネスや経営環境全体から、俯瞰して命題を眺めないと、その命題自身を評価するためのクライテリアを思いつくはずがないのに、、、

(3)適切性問題(解決性問題)
この層まで来て初めて、真正面からメリット・デメリットが何かについて取り組む段階になります。本稿ではその所作全体まで全ては言及できませんが、秘訣を簡単に言うと、

「その結論が経営課題を解決する能力があるか」(課題解決性)
「その解決策が経営課題と直結しているか」(内因性)
の2つを意識するようにしています。


■ 解決策や分析手法を知っているとつい使いたくなる誘惑に負けないようにする



管理会計のひとつに「意思決定会計」という分野があり、まさしくA案・B案を比較して、相対的に良案とされる方を選択する技法として、「差額収支計算」というものがあります。例えば、

「その受注は受けるべきか、辞退するべきか」
「外部から購入するか、自社工場で内製するか」など

「(2)クライテリア問題」として、差額収支計算する際の基準として、「キャッシュフロー」「会計的利益」「企業価値」などをまず選択してから、差額収支計算を実行します。若手の人は、差額収支計算を教科書で習ったら、すぐに使いたがります。しかし、その前に、そもそもクライアントが「キャッシュフロー」を問題視しているのか、それとも「会計的利益」を問題視しているのか、それを正しく把握しないと、どんなに複雑で綿密な計算モデルを活用しても、導かれた回答は的外れなものになってしまいます。

しかしながら、キャッシュフローが最適解導出のクライテリアとして仮合意したとして、例えば「その受注は受けるべきか、辞退するべきか」という命題について、キャッシュフローをより多く生み出す方の選択肢「辞退」を正しく選んだとしても、それが顧客の経営課題を真に解決するものとは限らないことに留意すべきです。

その顧客が、従業員の教育不足・訓練不足・経験不足が喫緊の経営課題として認識していた場合、たとえキャッシュフローが悪化するからといって、受注機会を回避したら、従業員の教育機会をみすみす逃してしまうことになってしまいます。それは中長期的に見て、その顧客の市場競争力を削いでしまう結果になりかねません。

「A案とB案のどっちがいいか提案してくれ」と尋ねられて、
「どうしてその命題をいま取り組むべきなのですか?」とか「C案じゃダメなんですか?」という切り替えしができるコンサルタントになれれば、並みの・・・を卒業できると小職は考えるのですが、如何でしょうか。


■ (蛇足)仏典にある頓智(とんち)をビジネスに当てはめるのもリスクがありますが、、、



とある仏典にこういうくだりがあります。
「私(兄)には、5歳年の離れた弟が一人います。どっちが先に生まれたか分かりますか?」
普通に考えると、兄の方が5年も先に生まれたと考えるのではないでしょうか? しかしですね、「兄」という存在(概念)は、「弟」がいてこそ成立する相対的な存在という視点を持っていれば、「同時です」という正しい解答を導き出すことができます。

最初の問いを聞いた際に、「あなたは、二人兄弟ですか?」と、さらにフレームワーク問題に対する質問ができれば上出来なのですが。

蛇足の蛇足。
「私には、同時に同じ母胎から生まれた弟が一人います」
「あなたは、双子なんですね」
「いいえ、同時にもう一人妹が生まれていたので、私たちは三つ子です」

皆さんの職場では、こういうのが笑い話にできているビジネス現場であることを心の底から信じてやみません。(^^;)



こうしたコンサルタントの投稿は、下記リンクの兄弟サイトで更新中です。
⇒「経営コンサルタントによる経営戦略と経営管理に効く経営管理会計
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テーマ : 経営コンサルタントからのアドバイス
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ビジネスパーソンに必要なのは、「伝える力」か「聞く力」か?

■ クライアントや上司とのコミュニケーションは大切です


筆者自身がコンサルタントとして、現場で様々な職種や職位(タイトル)の人と直接会話し、プレゼンテーションを行い、報告書を提出する。コンサルタントに関わらず、ビジネス上、コミュニケーション(相互の意思伝達、相互理解)は、仕事を進める上でとても大切な要素です。

それゆえ、ビジネスシーンで使えるフレーズ集や、生産的コミュニケーション方法論といったビジネス書が後から後から出版され、様々な著者が実体験から来る経験則や研究成果を披露しています。うまくクライアントや上司と会話ができないビジネスパーソンが競ってそういう類の書籍を買い求め、自分磨きを試みるのですが、筆者を含め、上達している実感が得られることは少ないようです。(^^;)

そこで、シンプルに「ビジネスコミュニケーション」を理解するために、ここは大胆に、コミュニケーション要素を2つに大別して、どっちがあなたにとって優先的に対処すべき課題かを意識してもらうのが、コミュニケーション上達者になる早道かもしれません。


■ コミュニケーション力は、「聞く力」と「伝える力」から構成されている


社会学やコミュニケーション言論など、学術的な書物をひも解いても、コンセプトや学術用語ばかりで実用的ではないし、逆に、実用書では、ある局面で、特定のフレーズで回答する、パターン集の寄せ集めで、用例と同じ場面に出くわす可能性は著しく低く、そのすべての用例を覚えるだけでも面倒。。。

ここは、ズバリ、「聞く力」と「伝える力」の2点に焦点を当てましょう。さらに、その内容を確認して、自分の現況を見て、よりどっちが自分にとって大切か、たった一つに絞り込んで、集中トレーニングした方が上達が早く、効果的というものです。

(1)聞く力
① 相手があなたに何を伝えたいと考えているのかを理解する能力
② 相手があなたに伝えたメッセージに乗せられた真意を読み取る能力


①について
話者が、自分の立場や境遇、所感について、ただ「共感」を求めている場合、いかに建設的な提案を示しても、相手には何にも響きません。「へー、なるほど、そうですか、それは大変でしたね(素晴らしいですね)」という気持ちを口頭もしくは態度で示せば、それだけで相手は大満足です。また、「共感」ではなく、「解釈」を求められる場合もあります。
・事実認定:Factは何か、本当にA=Bか、現状の課題を全て洗い出し、抜け漏れが無いか
・価値判断:あるべき理想形は何か、何を理想形とするかの判断根拠(クライテリア)は正しいのか
・政策提案:どうすればよいのか、将来に向けた施策立案は、現状の課題を解決する方法とは

人が相手に話を持ちかけ、期待している返ってきてほしい言葉は、大別して、
「共感」「事実認定」「価値判断」「政策提案」の4つのいずれかです。

②について
暗喩などに表れるように、表面的な言葉遣いの裏に潜む真意を読み取ることも大事です。「A事業部の売上が伸び悩んでいるのだけれど、そういう販売施策を打てばいいか?」という問いに対して、「その場合、●●という販売促進施策を採用すればよい」と意気揚々と回答したことはありませんか?

その問いの裏に潜む真意は、
「A事業部を管掌しているB取締役の処遇をどうしたらよいか」
「A事業部の商品ラインナップに問題があるので、マーチャンダイジング担当者を変えたい」
「A事業部に将来の幹部候補のC部長を投入して、スピンアウトさせ、事業拡大させたい」
というものかもしれません。

上記①②を問わず、相手の真意や問いかけの意味を取り違えた場合、どんなに素晴らしいアイデアでも、どんなにそつのない用語を選んだとしても、相手があなたの回答に満足することは決してないでしょう。ただひたすら、あなたの「受信力」を高めてください。



■ コミュニケーションで、「伝える力」は結構いい加減。要はあなたの想像力


残る一つは「伝える力」。これは、言葉の通り解釈すると、立て板に水のように、とうとうとよどみなく会話する表現力や、決めゼリフ、特定のフレーズなどを駆使することのようにイメージされます。しかし、そういったものは「伝える力」の本質では決してありません。

「伝える力」は、「想像力」以外の何物でもありません。あなたは、自覚・無自覚を問わず、この世の理(ことわり)を認知しています。決してあなたの口から発せられる「言い方」の問題ではありません。

大切なのは以下の2つ。

① 分かっていることの4分の1しか相手に伝わらない
仮に、自分の頭の中で理解している物事が100%とします。あなたはその知識・理解を相手に伝えようと、口頭説明したり、文章やプレゼンテーション資料という視覚情報に落としたりします。その段階で、あなたの脳内になる知識や伝えたい要点は、情報量が50%に半減します。さらに、その媒体(口頭を含む)から情報を相手が汲み取る際に、相手の脳内での理解度がさらに半減します。つまり、あなたの脳内にある知識・理解は、相手の脳内に入り込むまでの間に、情報量や正確性は4分の1に減衰するのです。この事実を承知し、4分の1になっても支障がないように、予め、心の準備、仕事の段取りをつけておく必要があります。

② あなたが理解していることしか伝えられない
例え、4分の1に減衰したとしても、そもそもはあなたの脳内にある情報を整理して相手に伝えることになります。あなたが理解していないこと、知らないことは相手に伝えることはできません。それゆえ、あなたは「伝える力」を養成するために、バリバリ勉強して、脳内に知識や方法論を蓄えておく必要があります。Inputの質と量と継続力が大事になります。世の中で必要とされる知識は絶えず変化するものですから。




■ 究極の選択。「聞く力」と「伝える力」のどっちを優先すべきか?


最近のビジネスパーソンは大層忙しいそうなので、「聞く力」と「伝える力」の両方を同時並行で鍛える時間とエネルギーはそうそう捻出することは難しいようです。そういう場合は、どちらかを優先して身につけるように努力する必要があります。でもそれは人それぞれでしょう。というのも、聞く力と伝える力のバランスや習熟度は個人によるものですし、何かを身につける際には、努力と成果が常に正比例で増加せず、かけた努力の割には成果が上がらない、努力効果逓減の時期というものが必ず生じるものだからです。

それでも、あえて、筆者の私見を加えるなら、「聞く力」の習得・レベル向上の方を優先すべきでしょう。まず、相手が何を言っているか、こちらに何を求めているかを正しく理解しないと、すべてのコミュニケーションは成立しませんので。自分自身に「伝える力」がまだ備わっていない場合は、正しく相手の言葉を聞いた上で、適切な処置を同僚や上司にヘルプを求めることだってできますし。

ちなみに、上記で紹介した2つの書籍の著者。お互いに自他ともに認める犬猿の仲なのだそうです。その影響でしょうか。全く正反対の書名で競うようにベストセラーを出したのは。(^^;)



さてさて、こういうコンサルティング現場のお話、管理会計のお話を含め、筆者がほぼ毎日更新している兄弟サイトへも足をお運びください。(^^;)

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テーマ : 経営コンサルタントからのアドバイス
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管理会計はどこまで経営に役立つか?

■ 管理会計は本当に経営の役に立っているのか?



私は、「管理会計」が個人的に最大の趣味であり、ビジネスキャリアとしても最も長く、現在の職業としています。そして、人によって「管理会計」の定義が異なり、「管理会計」に対する思いもそれぞれであることも知っています。それゆえ、これから吐露する「管理会計」に対する思いは、あくまで個人的な意見であることも自覚しています。

私が「管理会計」に出会って現時点で26年が過ぎました。四半世紀以上も、管理会計学の学徒として、管理会計の実務家として、管理会計のコンサルタントとして、26年過ごしてきた個人的な考えとは、いささか極論に聞こえることを承知で申し上げると、

(1)「管理会計」は大して経営の役に立たない
(2)「管理会計」よりも経営やビジネスに重要なことはたくさんある
(3)「管理会計」は使う人のレベルにあったものにすべきである



(1)「管理会計」は大して経営の役に立たない
ビジネスにおける勝利の方程式があるとしたら、経営学の大家であるドラッカー氏が言うように、「顧客の創造」の一言に尽きると思います。これは氏の「企業の目的とは?」という自問自答に対する答えでもあります。そして、「企業の目的は利益を上げることではない。結果として利益がついてくるのだ」という言説にも大いに賛成するところです。
 つまり、「管理会計」を使って、細かいセグメントでどれくらい儲かったか、を把握できるようになったとしても、それは企業活動の結果をより詳細に見ているだけで、その数字ができる前に、既に企業の目的も達成されているし、勝利したかどうか(結果として儲かったかどうか)は、既に定まっていると思っているのです。

(2)「管理会計」よりも経営やビジネスに重要なことがたくさんある
結局のところ、「管理会計」で把握できると考える会社内における諸所の活動の数字は、あくまで結果であり、どういう活動をしたらいいか、結果としての利益を得るために、考えるべきことは、マーケティングやイノベーション、効率的なオペレーション等だと思うのです。それは、「管理会計」で結果数値を眺める前に、リアルに現場でビジネスをやっている人なら、肌感覚で分かっているのではないか、そう考えています。

(3)「管理会計」は使う人のレベルにあったものにすべきである
「管理会計」の領域では、予算管理、原価管理、収益性管理、財務管理等、企業内の様々な計数、特に金額換算された数値を扱います。詳細な予実管理したから高収益体質になるのではなく、高収益体質になるために、予実管理をするのです。では予実管理とは何か?
 これは、あくまで個人的な見解ですが、

「社会的意義と投資収益性が相応にあるビジネスプランを立てて、そのビジネスプランの成功要因や成功の程度を知ることで、当初のビジネスプランを結果評価し、次のビジネスプラニングに活かす」

事だと考えています。それゆえ、自分自身が理解できる、納得できるビジネスプランのストーリーを会計的数字で認識できる必要があります。つまり、四則演算しか分からない人には、加法・減法で、微積分が分かる人には極限値で、理解できる数値を示してあげる必要があるということです。背伸びをして、同業や他業種の成功していると考えられる企業で実践されている「管理会計」の仕組みをものまねしただけで、自社の成功がもたらされることは決してないでしょう。

先端技術の革新で競っている会社は、どうやったら新技術をどこよりも早く開発し、製品化できるかが重要成功要因(CSF、KSF)であり、コモディディ商品を取り扱っている会社は、どこより生産効率を上げたり、物流やマーケティングの工夫でお客に手に取ってもらいやすさで勝負すべきなのは自明の理でしょう。

最後の一言、
「経営に一番大切なことは、自社にとっての重要成功要因が何かを見抜くこと。管理会計はその目利きの検証程度にしか役立たない」


こうした筆者の毎日の戯言が読めるのは次の兄弟サイトです!

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ESG投資やエシカル消費という言葉が無い世界へ

■ 今の特別を未来の当たり前に



株式投資の世界では、ESG投資、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を選別して行う投資の重要性が主張され、実際にその種の投信ファンドが高成績だったりしています。また、環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費することを、「エシカル(ethical)消費」と呼んだりします。具体的には、途上国の労働者の生活水準向上を目指し、搾取的な取引条件を撤廃(フェアトレードという)して適正価格で仕入れた商材を好んで消費することで、一般的な経済的取引から途上国労働者の生活水準向上を可能にする消費者行動を意味します。

「社会起業家」として、社会貢献に寄与するプロジェクトを商業ベースで行うことの意義を重視して活動する起業家たちの活躍を見聞する機会も増えてきました。資本主義は、サブプライム危機以降、行き過ぎた「強欲資本主義」として批判の矢面に立っている反面、ある意味人間の本質を構成する「欲」をトリガーに、社会善に役立てようとする前述のいくつかの試みに、留飲を下げられる部分も確かにあります。

経営コンサルタントとして、企業経営のあり方について長年、数多くの経営者や意欲的なコーポレートスタッフと議論を重ねてきた経験から、ひとつ感じていることがあります。株式会社のゴールは利益を稼ぎ、それを資本主(株主や金融機関)にお返し、預かったお金の受託者責任を全うすること。それを近視眼的に、重要目標達成指標:KGI(Key Goal Indicator)として目標設定したものがROEやROIC等です。果たして、ステークホルダーとの企業戦略やバリュー、ミッションの共鳴無しに、そうしたKGIの達成は可能なのでしょうか?

KGI達成の前には、必ず、重要業績評価指標:KPI(Key Performance Indicator)が存在します。KGIで設定している財務的成功の前には、高い従業員満足と企業ミッションへの共感が必要で、そうした高いモチベーションに支えられた従業員の意欲的な業務姿勢の結果、高い顧客満足が得られます。顧客からの高い支持(ロイヤリティ)があってこそ、短期的には高い利益率を、長期的にはゴーイングコンサーンとしての財務体質強化を果たすことができるのです。

冒頭のESG投資、エシカル消費の話に戻りますが、これらは、レピュテーションリスク対策といった消極的な話ではなくて、企業がゴーイングコンサーンとして永続的にステークホルダーからの支持を得るための必須条件となるものです。それゆえ、どの企業も当たり前のように取り組むべき事項で、ことさらESG投資、エシカル消費というネーミングの必要がない企業社会の到来に我々は進んでいくべきなのです。



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テーマ : 経営コンサルタントからのアドバイス
ジャンル : ビジネス

財務分析テンプレート『9 Matrix Financial Analytics』無償版のダウンロード開始

1.9 Matrix Financial Analytics とは


財務分析(経営分析)は、数字を算出して終わりではありません。確固たる経営管理の目的を果たすために行われる計数分析作業で、各種の経営管理活動(施策)と連動する必要があり、同時に、その施策に何らかの示唆を与えたり、特定の管理目的の達成度評価や目標設定に役立つものでなければなりません。

経営管理の活動レベルとして、
①商品戦略
②事業戦略
③財務戦略 
の3つ、

経営管理の視点の違いとして、
①ビジネススピード
②投資収益性
③キャッシュマネジメント
 の3つ、

3X3のマトリックスで一覧性を保持しながらも、企業経営における重要な財務指標を選抜してあります。
9 Matrix Financial Analytics


2.選ばれた9つの財務指標とは


財務指標は、各種統計資料や、競合他社とのベンチマークにも活用できるものであると道具性が高まります。その見地から、一般的に決算書として外部に公開されている、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/S)から簡単に基礎数値を取り出せるもので構成されるように工夫しました。

① 売上高成長率

・対前年成長率 = (当期売上高 - 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100
・年平均成長率 = (当期売上高 - 初年度売上高)^(1/経過年数-1)×100

→CAGR(Compound Average Growth Rate)
詳細は次の筆者ブログの解説記事を参照してください
「成長性分析(5) CAGR – 年平均成長率の使い方」


② 交叉比率(交差比率)

・交叉比率 = 売上高粗利率 × 商品回転率
= (粗利 ÷ 売上高)×(売上高 ÷ 棚卸資産)×100

→棚卸資産粗利率を、「売上高粗利率」と「商品回転率」とに分解した指標です。
→「売上高粗利率」は、売上高に含まれるマージン(儲け)の割合を示しています。 ※粗利(あらり)=売上総利益
→「商品回転率」は、在庫(棚卸資産)が売れていくスピードの速さを表しています。


③ CCC(Cash Conversion Cycle:キャッシュコンバージョンサイクル)

・CCC = DIO(在庫回転日数)+DSO(売上債権回転日数)-DPO(仕入債務回転日数)
= (棚卸資産 ÷ 売上原価)×365 +(売上債権 ÷ 売上高)×365 +(仕入債務 ÷ 売上原価)×365

→DIO:Days Inventory Outstanding
→DSO:Days Sales Outstanding
→DPO:Days Payable Outstanding
→仕入から商品販売に伴う現金回収までの日数を示し、この日数が小さいほど、企業の現金回収サイクルが早いことを意味します。
→DIOとDPOの分母も全て「売上高」で統一する方式もあります。売上高の何日分という視点では分かりやすいのですが、
それでは粗利分だけ計算結果が影響されてしまいます。


④ ROS(Return on Sales:売上高当期純利益率)

・ROS = 当期純利益 ÷ 売上高 ×100


⑤ ROA(Return on Assets:総資産当期純利益率)

・ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 ×100


⑥ FCF(Free Cash flow:フリーキャッシュフロー)

・FCF = 営業活動からのキャッシュフロー + 投資活動からのキャッシュフロー

→新規に資金調達しなくても、企業内部活動で生み出さるキャッシュフローを意味します。
→厳密な定義式として、FCF=税引後営業利益+減価償却費ー設備投資ー正味運転資本増加額 というのもあるのですが、
決算書(財務諸表)から簡単に取り出せること、どちらの式に基づいても、プラス・マイナスのベクトルは間違わないことから、このテンプレートでは上記簡便法を採用しています。


⑦ CFマージン (キャッシュフローマージン)

・CFマージン = 営業活動からのキャッシュフロー ÷ 売上高 ×100

→顧客への販売活動から直接的にどれだけのキャッシュフローを生み出せているかの割合を示しています。


⑧ ROE(Return on Equity:株主資本利益率、自己資本利益率)

・ROE = 当期純利益 ÷ 純資産 ×100


⑨ Net D/E Ratio(Net Debt / Equity Ratio:純負債資本倍率)

・Net D/E Ratio = (有利子負債 - 現預金)÷ 株主資本

→「株主資本」の名が法定の貸借対照表(B/S)に存在し、この数値を使用すると、少数株主持分(非支配持分)と新株予約権が含まれないことになります。この財務指標の管理目的に照らして、両者を含む「純資産」の値を用いることにします。


3.どうして「9つ」にこだわるの


アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが『人間の脳は7個くらいしか短期的に記憶できない』と提唱した説に則り、自身の経験則からも、人間が並列で物事を評価したり、関連付けたりする数(チャンク)は、7±2 が妥当であると考えています。さらに、研究が進んで、Webデザイナーの業界では、さらに絞り込まれて、4±1 とも言われています。そこで、2軸のマトリクス化で、それぞれ3つずつに分けることで、階層化し、人間の脳に刻み込まれやすいフレームワークにすることに腐心しました。それでも、9つが多すぎるというユーザに対しては、さらに絞り込んだ下記の5つに焦点を当てることを推奨します。

9 Matrix Financial Analytics_5 focus indexes

② 交叉比率
④ ROS(Return on Sales:売上高当期純利益率)
⑤ ROA(Return on Assets:総資産当期純利益率)
⑥ FCF(Free Cash flow:フリーキャッシュフロー)
⑧ ROE(Return on Equity:株主資本利益率、自己資本利益率)



4.財務指標の計算式で注意すべきところは


「財務比率」を計算する際に、貸借対照表(B/S)の数字を使う場面は多いものです。そこでは、通常、何の断りもない場合は、B/S数値については「平残(平均残高)」という補正値が使用されるのが普通です。例えば、総資産を用いて、ROAを計算したい場合、分母に持ってくる総資産の値を、

・総資産 = (期首総資産残高 + 期末総資産残高) ÷ 2

という計算式で、ROAを算出するに当たり、利益創出に使用した資産を正しくとらえようとする試みからこの領域での一般常識になっています。
ただし、ROEツリー(デュポンチャート、デュポンツリー)のように、上位の財務指標をブレークダウンして詳細分析していく際に、この「平残」方式は財務指標間の相関関係を見るのに、大いに邪魔をしてくれています。また、ここまでITが発達した時代で、ざっくり期首期末の単純平均で、評価期間の総使用資本量を推し量るというのは乱暴に過ぎます。そこで、本テンプレートでは、中途半端な精緻化はやめて、B/S値を使用する際には、期末値を思い切って用いることにします。したがって、巷の経営分析データや貴社内の管理資料と若干分析結果に違いが生じる可能性があります。その際は、本テンプレートの計算式を自由に改変して頂いて構いません。その労に対応して益のある分析結果が得られるとお考えなら、その方針を妨げるものは当方にはありませんので。

参考まで、資本使用量概念にあくまで本質的に迫っていくなら、「積分」で対象データを求めるべきなのですが、会計実務でギリギリ用いることができるのは、4半期決算毎の期首期末値を使ったもので、これでもかなり年間の使用資本(資産)量により本質的に近くなる値かも、というのをイメージ図でお伝えします。

20160820_平残の意味

そして、分母のB/S値ばかりに、本質的な使用資本(資産)量を求めようとするなら、分子の利益等のP/L値も、複利計算で求める必要があります。そうしないと、分子分母がきちんと対応しなくなるので。ここまで来ると、コーポレートファイナンス理論の力を借りる必要が出てきます。それゆえ、スパッと割り切って、経営実態を把握するのに、期末値を採用することに何のためらいもないのが自分流なのです。このテンプレートでは、5か年の推移で財務指標を見ていくので、一時的な資産増も平準化(年次循環考慮後)した姿できちんと可視化できます。


5.このテンプレートの使い方


・「入力シート」から、分析最終年度、決算書から分析対象に使用する勘定科目の金額などを、ベージュ色のハッチングがかかったセルに入力してください。
 (12個×5ヵ年=60個の財務数値を入力)
・「表示シート」では、グラフ化する元数表が表示されていますので、数字だけで確認したい場合はこちらをご参照ください。
 (35種類の財務指標の5ヵ年推移を未確認することができます)
・「グラフシート」では、可視化されたExcelグラフが表示されています。
 (9種類のグラフ、31種類の財務指標を可視化することができます)

できるだけシンプルに作成したいため、一切のVBAマクロを仕込んではいませんので、ご安心してご活用ください。そのため、単位表示など、見やすいグラフにするためには、ユーザの方に多少の作業が発生する場合があります。
なお、本版はサンプルとして、トヨタ自動車株式会社の5ヵ年(FY2011~15)の決算数字を有価証券報告書を元に入力してあります。

最後に、財務指標は、計算してグラフ化して終わりではありません。なぜ、そういう値になったのか、そしてこの先どういう意値になりそうか、原因分析、業績予測と施策立案に役立ててこそ、取り扱う意味が生じます。それゆえ、惜しげもなくテンプレートをここに公開します。つまり、これらの数字を使って、どうやって業績評価をするか、どうやって施策立案するか、そのお手伝いをするのが小職のメインミッションであるからです。ご自身で自社または競合他社、もしくは投資対象企業の財務分析に本テンプレートをご活用いただき、仮に、更に踏み込んだ使い方のレクチャーやカスタマイズをご希望の方は、どうぞ遠慮なく、下記問い合わせ先までご連絡ください。

<注記>
・本テンプレートは、Microsoft Excel 2010 を使って作成しております。
・動作確認は、Windows 7/8/8.1/10で行っています。
・シート構成
① はじめに   ・・・イントロダクション
② 入力シート  ・・・5ヵ年の財務数値を入力
③ 表示シート  ・・・9つの財務分析表が表示
④ グラフシート ・・・9つの財務分析グラフが表示
・各シートは作成環境にて印刷設定を簡易的に施してありますが、印刷される場合は、ユーザ環境で改めて印刷設定されることをお勧めします。

<シートイメージ>
・入力シート

20160820_9 Matrix Financial Analytics_入力シート_2

・表示シート

20160820_9 Matrix Financial Analytics_表示シート

・グラフシート

20160820_9 Matrix Financial Analytics_グラフシート

⇒ダウンロードはこちらから(DL先は小職の兄弟ブログサーバ内なのでご安心ください)
  「9 Matrix Financial Analytics テンプレート(無償版)」← MS Excel 2010版
⇒兄弟ブログのダウンロードページへはこちらから
   「財務分析テンプレート『9 Matrix Financial Analytics』(無償版)取扱説明とダウンロード

・問い合わせ先:
ブログ内各ページ右にあるコンタクトフォームからご連絡いただけます。

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テーマ : 会計・税務
ジャンル : ファイナンス

固定費の配賦の目的をきちんと認識していますか? -共通費と固定費の違い

■ みんなが言っている固定費とは、「共通費」と本当の「固定費」の2つの意味を併せ持っている!



まず、「固定費」の意味から簡単に説明します。企業が顧客に提供する財・サービスのひとつひとつの単位でいくらと計算できずに、大雑把に、この期間に発生したことは分かる、この製品グループを製造する部門(生産ラインなど)全体で発生したことが分かるコストのことを、「共通費」といいます。その「共通費」が、ある一定の会計期間において、同じ期間の売上額(または売上数量)の増減に比例的に発生するとは限らない場合、さらに「固定費」と呼びます。

それゆえ、世間一般で言われている「配賦」が必要とされる「固定費」とは、

①ひとつひとつの原価計算対象にとって共通に発生して単位当たりの発生額が不明、という意味での「共通費」

②ある会計期間において、売上高の増減に比例的に発生するか不明、という意味での「固定費」


という2つの意味を持ち、厳密にいうと、「共通固定費」と呼ぶべき性質のコストです。そしてこの2つの意味から、何に対して共通で、何に対して配賦すべきか、留意すべき点も2つ存在します。

①共通費
お客とやり取りする商材のひとつひとつにかかったコストが分からないから、商材のコスト計算単位に全体でかかった共通費を割り付けて、合理的に(?)配分するために、コスト計算する対象に「配賦」しなければなりません。

例えば、アイスクリームを作っている会社の場合、アイス一つの材料投入量が分かるので、材料費は個別費。でも、アイスを作る機械の減価償却費はアイス一つという単位ではなく、原価計算期間(1カ月とか四半期とか)単位で、いくらとしか分からない状態。

②固定費
どの会計期間で売れた商材の売上に対応してかかったコストか、分からないから、会計期間ごとに、固定費を割り振らなければ、会計期間ごとのコストを厳密に(?)算出することができません。

例えば、アイスクリームを作っている会社の場合、機械が1カ月に作るアイスは100個。同月に売れたのは80個で、月末に売れ残ったのは20個。今月何個売れたかに関わらず、その製造機械の減価償却費の発生額は同じという状態。この場合、その製造機械の1カ月の減価償却費は、8:2の割合で、80%を今月の売上原価に計上する、という会計処理をするのが一般的。

それゆえ、一般的には「固定費」と呼ばれているものは、例えば特定の会計期間に発生したことしか分からないから、「期間費用」でしかないもの、という意味で使われています。



■ 制度会計が要請しているのは「固定費」の期間按分だけ。



公正妥当な会計慣行にもとづく、「一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)」によりますと、原価計算は、「全部原価」ベースで、売上原価と期末棚卸資産を計算することを要請されています。「全部原価」の「ぜんぶ」とは、企業が提供する財・サービスのひとつひとつ、個別に把握可能な「個別費」と、前章で説明した「共通費」を全て含む、という意味。

これは本当におかしい。中途半端すぎる! 製造機械の減価償却費だけ、今月何個売れて、今月何個売れ残ったか、その比率で按分するのなら、バックオフィスで働いている従業員へ支払っている給料も、今月売れた分と在庫になった分に按分した方が筋が通っているのでは???

だって、製造ラインはもとより、工場の管理部署で働いている方々のお給料は既にそうしているから。

働いている場所や組織で、その人に支払われるお給料が期間按分されるのか、それとも有無をも言わさず、販管費として全額その会計期のコストになってしまうか、という区別をするなんて、そこには合理的な線引きルールは果たして存在しているといえるのでしょうか。



■ 管理会計が要求するのは「共通費」のコスト計算対象への按分だけ。



一方、管理会計の世界では、主に次の2つの目的から「共通費」をコスト計算単位に配賦することを必要とします。

①そのコスト計算単位がどれだけ儲かっているか知りたい
②そのコスト計算単位に関わっている人の業績評価指標として、その儲かり度を使いたい


制度会計が「販管費」として、一括期間費用として処理することを要請しているから、バックオフィスや営業マンの人件費は、コスト計算対象外。しかし、管理会計の世界では、そうした人たちへの人件費も、コスト計算単位ごとの儲かり度を測定するためには、何らかの配賦が必要。

ここまでの整理(通説どおりの教科書とは言葉使いが違うので注意してください)。

        制度会計 管理会計
個別費  個別対応 個別対応
共通費  期間対応 配賦対応
販管費  期間対応 配賦対応


制度会計と管理会計において、共通費の「配賦」目的が異なることから、当然「配賦」手法も違ってよい、というのが筆者の持論。制度会計は、共通費の期間按分にしか興味が無いので、そこでの共通費の配賦基準は期間按分ができれば十分。逆に、販管費は全額当期の費用で落とすという意味で、大胆な意味での期間対応で配賦の必要なしというわけ。



■ 管理会計が要求する「配賦」の正しいやり方とは?



この問いは、「計算結果(儲かり度)を正確に計算するための、『配賦基準』は何か?」という質問に置き換えることができます。

筆者のこれまでの実務経験と、コンサルティングサービスの実践から得た知恵として、共通費にまつわる1枚ものチャートは下記の通り。

管理会計(基礎編)_共通費の配賦に対する対立的見解


<配賦積極派の意見>
「共通費という性質を持つコストも全てコスト計算単位(製品、事業部、ブランド等)に配賦しないと、本当の採算が分からない」
「共通費というより、固定費の性質を持つコストを全てコスト計算単位(製品、事業部、ブランド等)に配賦して、誰かの会計責任に収めておかないと、固定費の回収が疎かになって全社の採算が悪くなるリスクがある」

そのために、採用を検討する「配賦基準」の考え方とは、

① 原価原因発生主義(人数、面積)
  正確な儲かり度具合をできるだけ追求する考え方

② 負担能力主義(売上高、利益)
  固定費の回収という視点を重視した考え方

③ 応益負担主義(用役比、ABC)
  配賦を受けるコスト責任者側の納得性を重視した考え方

したがって、筆者が配賦ロジックのコンサルを実施する場合は、次の2点を見極めようとします。

1.配賦目的が「共通費」の按分か、「固定費」の回収漏れ回避か?
2.儲かり度を把握したいのか、会計責任を設定することを重視するのか?


そして、

何を(共通費か固定費か)、
なぜ(儲かり度を分析したいのか、固定費の回収漏れを恐れるのか)、
どうやって(配賦基準に何を採用するか)、

の3つの組み合わせから、その都度、最適と思われる組み合わせを提供することを心掛けています。



■(おまけ)管理会計屋としての本心は「配賦」についてどう思っているか?



回答としては、「できるだけやらない」「やらないですむならやらない」「やらずにすむ方法を考える」「どうしてもやらねばならなくなったら、できるだけシンプルにやる」です。

理由としては、以下のとおり。
① 実際配賦の場合、自己の活動良否とは無関係に被配賦額が変動する
② 予定配賦の場合、そもそも予定基準が正しいか議論になる
③ 両建ての場合、配賦差額に対する責任の所在でもめる


よく、PDCAとか、差異分析を改善活動に活かすとか言われていますが、複雑な計算で出された配賦差額は、どう遡っても原因追究ができなくなったり、トレースの時間切れになったり、不利差異に対する責任の所在が水掛け論になりがちです。うまく機能している現場を見る機会の方が稀です。

例えば、操業度差異は、営業の問題として、生産現場では負えない責任だと処理されがちですが、稼働率の調整やプロダクトミックスの機動的見直し、といった改善活動を生産現場は本当にやらないでいて、操業度差異を全て営業の責任にして、それで会社全体が儲かる体質になるのでしょうか? そういう類の差異分析は、収益性向上の取り組みにおいて、逆作用に働くと感じています。

例えば、
・生産活動の良否は、加工時間の管理(短縮)など、標準原価の差異分析だけに頼らない
・個別費だけからなる「限界利益」「貢献利益」を高めに設定して、共通固定費の回収を図る
など、知恵を出せば、細かい単位への配賦を必須のものとせずに、採算管理ができる余地がきっとあるはずです。

「管理」会計は、業務や採算を「管理」するためのツールにすぎません。だから、「管理可能利益」で「管理」するのがベターだと思うのですが如何でしょうか?



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(7/27)【無料セミナー】原価管理業務改善とICTの最新トレンド!~利益創造のための原価管理とシステム適用のポイント~

『全員参加の原価管理で利益を創る - 最新ICT活用事例』
~今年もプロジェクト原価管理を語ります!~


2016年7月27日
主催:株式会社NTTデータ ビジネスシステムズ
共催:株式会社クニエ、株式会社NTTデータ

【セミナー概要】

コスト競争が激化している今日、原価情報の活用が急務となっています。多くの企業では正しい原価を掴むために日々奮闘されていますが 『経営層の求める原価管理のレベルにICTが追い付いていない』 、『手作りのシステムがブラックボックス化している』などの様々な経営課題をお持ちのお客様も多いかと思います。

今回のセミナーでは、大手企業様の原価管理コンサルティングを数多く経験されている株式会社クニエの小林氏をお招きし、業種・業態を限定せず、原価管理の基礎や多くのお客様に共通する改善の方向性について、ご説明頂きます。後半には、個別原価計算の領域における「グループ企業のICTの統合化・シェアードサービス化」や「手作りからパッケージへ乗りかえた成功事例」について、ソリューション紹介と共にご説明致します。

原価管理業務の積極的改善を図りたい あるいは 原価管理に課題をお持ちの経営幹部・部門リーダー・ご担当者の方のご参加をお待ちしております。


【本セミナーのポイント!!】
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【プログラム】 (下記は、筆者が講演する部分を一部抜粋)
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【問い合わせ先】
お電話:0120-458-459
第一システム事業本部 Biz∫ソリューション事業部 Biz∫ソリューション企画営業部
E-MAIL:biz_sales@nttdata-bizsys.co.jp


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簿記を全く知らずして決算書が本当に読めるようになるのか?

■ 簿記を勉強しないでも決算書が読めるという本を書いている人は簿記を勉強したことがあるのか?


断言します。
決算書(財務諸表)は、簿記を勉強しておかないと、本当のことは理解できません。

そもそも、「簿記知識が無くても決算書が読める!」という類の本を書いている著者自身は、程度の差こそあれ、必ず簿記を勉強しているはずです。そうでないと、「決算の読み方」という類の本は書くことができません。

世の中には、甘言を弄して本を売ろうとしている人が多くて大変困ります。

「食べるのを我慢しないで、○○日で成功するダイエット」
「必ず儲かる、これから急騰するおススメ株はこちら!」
「誰でもやればできる、副業で○○○万円の収入を得る方法」

必ず儲かる株を知っているのなら、本を書いている間も惜しんで、資金繰りを必死にやって、自分でがっぽり買い込んで、人知れず大儲けしていればいいじゃないですか。わざわざ、おススメ株を書物で紹介することに何の意味があるんでしょう? もし儲からなかったら、損失補填でもしてくれるのでしょうか?

話を「簿記」と「決算書」の関係に戻しますと、企業を取り巻く諸々の経済的取引のうち、会計的取引になるものを抽出し、簿記のルールに従って、「仕訳」という会計素データをちまちまと作成してきます。それから「仕訳」を、整理して、決算書(財務諸表)のフレームワークにはめていきます。

①「費用」と「収益」のカテゴリに入ったデータを「損益計算書」へ
②「資産」「負債」「資本(純資産)」のカテゴリに入ったデータを「貸借対照表」へ
③「現金同等物」の増減データを「キャッシュフロー計算書」へ
④「株主資本」の増減データを「株主資本等変動計算書」へ


極論的にシンプルな説明をさせてもらうと、
去年と今年の「貸借対照表」がまずあって、「貸借対照表」に記載されている「当期純利益」の今年1年間の増減理由を記しているのが「損益計算書」で、「現金同等物」の今年1年間の増減理由を記しているのが「キャッシュフロー計算書」で、「株主資本」の今年1年間の増減理由を記しているのが「株主資本等変動計算書」です。

こう説明されても、簿記の知識がないと、「へぇ~、そうなんだ」で終わってしまいます。よく、決算書を読むのに簿記の知識が必須かどうかの議論をするときに、「自動車のエンジンの構造や製造方法を知らなくても、自動車を運転できるように、複式簿記を知らなくても、決算書は読めるようになる」という比喩を使う人がいます。でもね、内輪差とか、ポンピングブレーキとかの知識がないと、運転自身が危なっかしくなるでしょ。簿記の知識ってそういうレベルのものです。

私は、学生時代に独学で日商簿記4級にチャレンジした際、「貸方」に「借入金」という勘定科目が記載されているのを発見して、すぐに誤植だと思い、出版社に問い合わせたほどの素人から会計人生を始めました。当然、簿記4級の独学は挫折してしまい、1年後、会計専門学校に通い始め、ようやく簿記1級を取得しました。

「貸方」って、銀行が企業に貸し付けをする際に、銀行側から見た定義からくる用語で、銀行が貸すお金は当然企業から見れば「借入金」なのですよ。こういう解説をしてくれる本こそ本当に会計初学者に必要なんだろうと思います。

そういう私は、実は、学生時代に運転免許を取った後、ほとんど自動車の運転をしたことが無い超ペーパードライバーなんです。簿記とエンジンの話をする資格ないじゃん!
m(_ _)m



(それでも、簿記知識がなくてもてっとり早く決算書の構造と、財務諸表間の関係を知りたい方は、筆者の「会計(基礎編)」のシリーズを読んでみてください。でも少しでも、説明についていけないと感じたら、その時こそ、あなたにとって簿記の勉強が本当に必要なんだと実感できた瞬間だと思いますよ。)

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オービック情報システムセミナー[2016年 夏] 商社における事業ポートフォリオ管理での財務指標活用法(6/17)

■ 商社における事業ポートフォリオ管理で必要なこと


オービック情報システムセミナー[2016年 夏]にて、商社向けの事業ポートフォリオ管理における財務指標の活用法について講演させていただきます。業種は「商社」となっておりますが、複数の事業セグメントから構成される製造業、サービス業、そして商社を含む流通業でも汎用的に管理会計的な事業採算の評価方法を説明いたします。筆者の管理会計・経営管理の世界観にご興味がある方は、どうぞ業種を問わず、会場まで足をお運び頂けると幸いです。実際に、商社様の事例紹介もいたしますので、会計理論にだけ偏った、『絵に描いた餅』にだけはなっていないことは100%保証します。きちんと実務解を説明するのでご安心ください。

20160519_オービック情報システムセミナー_2016年夏

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予算管理でPDCAが回せている自信ありますか?

■  予算管理プロセスでPDCAを回すことができている状態を想像してみてください!


単年度予算を策定して、月次決算を実施して、予実差異分析をおこなって、目標未達を埋めるためのアクションプランを決定する。この一連の作業を、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルと一般的には呼ばれており、PDCAを回すための指南書や、コンサルティングサービスが世の中を闊歩しています。この現状に対して、どうにも筆者は首を傾げざるを得ません。

以下は、よくある企業の予算管理プロセスの実態です。

P:予算策定は、前年の第3四半期末前後の需要予測に基づいてスタートする
D:月次決算は、前月末実績レポートが出るのが翌月末ぐらい
C:予実差異は、勘定科目別で、ざっくりとしたセグメント・組織別でしかでない
A:改善プランは、過去に起きた問題にフォーカスして立案される

Pについて
3月決算会社の場合、単年度予算を作り始めるのが、前年の12月前後から。市場動向・技術動向の変化が激しい現代において、15カ月前の市場予測に基づく目標設定は、どれだけ精度が担保されているのでしょうか?

Dについて
例えば、5月実績レポートが出るのに、6月の第12~15営業日ぐらいまで待つこともざら。そこから分析を開始していては、分析結果が出るのが、翌々月になりますよ。2か月前の実績報告はもはや、誰の注意も引きません。

Cについて
予実差異、目標と実績の差異をレポートできるのは、勘定科目のざっくりセグメントだったりします。例えば、産業機械セグメントの売上高が予算比:20%減、対前年比:13%減、みたいな。皆が本当に知りたいのは、売れ筋のハズだった●●機械の納期遅れが発生して、売上が立つのが2か月遅れる、とか、主要顧客からの見込受注が顧客都合で半減してしまった、とかが知りたいのでは、、、

Aについて
期初からこれまで経過した売上未達に対してどうするか? というプランを考えるのが妥当と皆が考えるかもしれません。でも、年度末目標の未達部分を挽回する短期的な話と、競争市場で、コンペチターに売り負けしない製品ラインナップ作りと、大口顧客の攻め方という本質的な話とは、打ち手が随分変わってしまいます。それでも、年度末の売上目標値にこだわりますか?




■ 過去にこだわったPDCAではなく、現在をどうするかにフォーカスしたPDCAにしましょう!


ということで、通説で世間にまかり通っている常識として、「予算管理」「目標管理」の領域で「PDCA」プロセスを回す、というのは、たとえ、プロセスを効率化したり、ITを駆使してタイムラグをどんなに縮めたりしても、目指すべきゴールが後ろ向きな、15カ月前の目標未達のギャップを埋める、ことに執着していてはだめだと思います。

「手段」の問題ではなくて、「目的」の問題。現状目指すべき、現状ありたい姿を「目標値」とおいて、そこからの乖離を上下共に、できるだけ少なくするような補正活動を行うこと。これが本家本元の「PDCA」だったはず。というのは、PDCAの提唱者であるデミング博士は、「予算管理」「目標管理」の領域でこのコンセプトを世に広めようとしたのではなく、「品質管理」の領域で上下の外れ値を無くして、「標準化」「平準化」をそもそもの目的としていたから。巷に溢れる「PDCA」本のほとんど全ては、デミング博士の意図とは全く異なることを世に広めようとしています。

(参考)
⇒「経営管理 その管理方法
⇒「PDCAサイクルと経営管理

あなたの会社のPDCAへのスタンス、いつ変えるんですか? 今でしょ!(林修風)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。



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