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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 小池龍之介(11)

■ 第三章 言い訳しない その3

コンテンツガイド

55.「自分は正義だ」と思い込むから攻撃的になる

56.「結局みんな自己中」と認めれば冷静になれる

57.ボランティアも自然保護運動も究極的には「自分のため」

58.脳は善悪を自分に都合がよいように決めている

59.言いたいことが言えない、小心者の胸のうちとは

60.隠れた自己愛を自覚すれば自然体でふるまえる

 by 月読寺・正現寺住職 小池龍之介

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自分の中の善悪は持っていていいと思うんですよね。価値判断はあくまで自分のものだから。
ただですね、それを相手に押し付けるといろいろ問題が生じるんだと思います。



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企業の自己資本、円安で20兆円増 上場企業、2年間で 日産やパナソニック、成長投資へ余力

■ 円安による財務体質の改善とは

経営管理会計トピック
円安が進行していることで、自己資本が増加し、設備投資やR&D投資への投資余力が高まる期待、との記事が出ました。

2014/12/28|日本経済新聞|朝刊
企業の自己資本、円安で20兆円増 上場企業、2年間で 日産やパナソニック、成長投資へ余力

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「外国為替市場で急速に円安が進み、企業の財務体質が改善している。上場企業(3月期決算)の自己資本は円相場が最高値圏にあった2年前に比べ、円安によって約20兆円増加した。海外に保有する資産を円換算した金額が膨らむためで、自動車や電機などグローバル企業に恩恵が大きい。」

グローバル企業が保有している海外資産を円貨に換算(日本の親会社の連結財務諸表で評価した場合)すると、評価額が増えました、ということらしいです。そうすることで、

「企業の自己資本は株主が出資した資金や稼いだ利益の蓄積を指し、海外資産の変動分も加味される。自己資本が増えると経営の安定性が増して資金を調達しやすくなり、設備投資やM&A(合併・買収)など成長へ向けた投資余力が高まる。」

ということが期待できるそうです。

本当でしょうか?


■ 海外子会社の財務諸表を円貨で評価してみる

ちょっと、仮設の例で、日本企業が米国に子会社を設立して、その子会社の財務諸表を連結決算するために、日本円に換算する際の、数字の動きを追っていきたいと思います。
(複式簿記・連結決算になじみのない読者の方は、結果だけ確認してください)

まず、米国子会社の財務諸表を米ドル建てで確認します。
経営管理会計トピック_自己資本円安増_米ドル建てFS

つぎに、米ドル建て子会社財務諸表を、円貨建て連結財務諸表に加えるために、米ドル→円に換算する際の「換算レート」を記します。

初心者の方に:
財務諸表を外貨換算する際に、項目(勘定科目)ごとに、使用する換算レートの種類がバラバラになっています。このバラバラ加減には一応、それぞれ会計の理屈があり、このバラバラ感はひとまず納得してください。
経営管理会計トピック_自己資本円安増_換算レート

米ドル建て子会社財務諸表をバラバラな換算レートで円貨に換算すると、次のようになります。
経営管理会計トピック_自己資本円安増_円貨建てFS

この表の見方を簡単に説明します。

P/Lについては、収益と費用は、ARという換算レートで円貨に換算します。その後、円貨に換算した後の収益と費用の差額で当期利益を計算します。

S/Sについては、前期末の剰余金は、当時の円貨額をそのまま使用し、当期純利益は円換算後のP/Lから引っ張ってきます。そして、配当金は配当金額が決まった時の換算レートで換算します。全部の差額から当期末の円貨建ての剰余金が求まります。

B/Sについては、資産・負債をCRという換算レートで円貨に換算し、資本はHRという換算レートで円貨に換算します。剰余金はS/Sから引っ張ってきます。そうすると、B/Sの中にバラバラなレートで換算したものが集計されているため、左右バランスしないので、最後に、「為替調整(為替換算調整勘定)」で差額を調整します。

すみませんね、ここまでお付き合い頂いて。なにせ、筆者のここ最近のお仕事は、こういう外貨換算や、連結財務諸表を作成することが多いもので。。。(^^;)


■ 上記の円貨建て財務諸表で分かること

財務諸表は作って終わりではありません。作った後、じっくり眺めることで企業経営について思案を巡らすところに意味があります(と思っています)。

B/Sの右側をご覧ください。

まず、資本金:(円貨)13,500、(米ドル)150から米国事業はスタートしました。その後、利益が累積していき、(円貨)8,500、(米ドル)50だけ、純資産(自己資本)が増加しました。

この時、確かに、「米ドル建てで、150→200、その差額50ドルの利益(利益剰余金)が増えた」といえますが、「円貨建ててで、13,500→22,000、その差額8,500円の利益(利益剰余金+その他の包括利益累計額)が増えた」とは素直に実感できないと思います。

(ここで補足説明。「為替換算調整勘定」は、その他の包括利益に分類され、純資産の増減項目)

為替換算調整勘定の金額は、資産や負債の換算差額からも発生し得るので、当期の営業活動の果実であるとは言い切れません。さらに、円貨建ての剰余金:4,900のうち、どの部分が真水の利益増加分か、どの部分が為替のいたずらによるものか、も識別不能なのです。


■ できる経営者なら分かっている(ハズ、、、)

新聞記事には、「ソフトバンクは米スプリント買収などで海外資産が膨らんでいる。孫正義社長は「円安によって円換算した株主価値の押し上げ効果が大きくなる」と話す。」とあります。

おそらく、孫さんは、投資家に対するアナウンス効果のために、こう発言しているだけでしょうね。

連結財務諸表上の簿価だけで、純資産(自己資本)が見かけ上大きくなったとしても、為替換算によるものだったら、配当原資にはなり得ません(経済的な意味でね。制度会計上は配当できますが)。

もう一度「利益」情報の意味を確認させてください。
「業績評価利益」と「配当可能利益」。関連投稿はこちら⇒利益情報の意味

経営者の経営手腕をはかるために、リアルビジネスでいくら儲けて、外貨建て資産運用でいくら儲けたのか、両者を識別しなければならないのに、現在の会計基準では到底、外部の利害関係者にはわかりようがありません。

また、円安になったことにより純資産(自己資本)が増えた分、株主に還元できるのでしょうか? 換算利益にはキャッシュの裏付けがないですよね。

つまり、円安になったということは、円の価値が下がったこと。価値が下がった通貨を基準に見れば、他国の通貨は持っているだけで価値が増えたように錯覚することができます。

賢明な経営者とそのサポーターである株主ならば、外貨の価値が高いことはそのまま外貨ベースで評価し、そのまま外貨建てで投資を続ければよろしい。わざわざ、通貨価値が下がる円貨に換算して、円で現金を保有したり、国内投資を積極的にしたりすることは経済的には不合理です。

(この新聞記事もそうですが、国内投資を喚起するような記事がこの最近目立っています。アベノミクスの第3の矢に絡む動きなのでしょうが。。。)

賢明な読者の方々も、マスコミが出す数字はきちんと検証してから、頭に入れてくださいませ。情報を咀嚼(そしゃく)する、ということです。




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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 小池龍之介(10)

■ 第三章 言い訳しない その2

コンテンツガイド

49.砂糖のドギツイ甘味は気分を乱高下させる

50.「快楽」を抑え「静かな満足感」をもたらす精進料理

51.ネットの情報は集めても集めても満たされることがない

52.人とつながりすぎると「快感過多」で不幸になる

53.ネットを絶って一人に立ち返ることこそ、最高の安息

54.「返事はいいです」と書き添える癖をやめる

 by 月読寺・正現寺住職 小池龍之介

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ネットは便利ですよね。すぐ連絡つくし。
昔は連絡つかない間、相手のことをじっくり考えざるを得ない時間がたっぷりありましたよね~。
できるだけ、メールは読み返してから出すようにしています。
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戦略を聞く 花王・沢田道隆社長 連続増配記録にこだわり

■ 花王が25期連続増配記録更新へ

経営管理会計トピック
花王の連続増配記録がさらに伸びそうです。当然、高収益の結果としての増配だと思いますので、いろいろと財務数値的な裏をとって見てみたいと思います。

2014/12/27|日本経済新聞|朝刊
戦略を聞く 花王・沢田道隆社長 連続増配記録にこだわり

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「花王の株価は2014年、上場66年目にして「成長株」のような値動きになった。年間で50%弱上昇し、14年ぶりに上場来高値を塗り替えた。2014年12月期で国内上場企業最長となる25期連続増配を可能にする高い収益力が、改めて株式市場で評価された。」


■ まず財務政策に対する基本方針の確認から

新聞記事から、連続増配に向けて、どのように考えているのかを抜き出してみたいと思います。

「連続増配にはこだわる。厳しい時代でも1円でも増配を、とやってきた。先輩たちがつないだ思いは絶対に私の代で途切らせられない」

「そのためにも絶対に必要なのが利益成長だ。投資を減らして配分に回すことはない。今期の設備投資は前期比2%増の650億円だが来期はもっと増やす。設備投資、研究開発費を増やしながら利益成長し、配当もしっかり出す」

つまりですね、どこかの会社みたいに、内部留保を将来投資に一切回さずに「総還元性向100%」と宣言して、小手先で株価をつり上げる(おっと失礼!)のではなく、きちんと、やるべき先行投資をしっかり行い、果実としての利益を株主にも分配して報いる、という極めて真っ当な考えでやっている、ということだそうです。


■ ヒストリカルデータを分析してみました

花王のホームページにアクセスし、手に入る有価証券報告書からデータを引っ張ってきて、増配記録更新中の利益成長の軌跡を検証してみました。

FY2000から14期分しかデータが取れなかったので、24期にはあと10期足りませんでしたが。

下記の数表とグラフをご覧ください。利益成長(?)に比例して、株主還元(配当金支払+自己株式消却)がどれくらい伸長しているでしょうか?

※ 配当金支払総額については、当期の株主資本等変動計算書から抜き出しています。つまり、期末配当は翌期の支払い配当額に含まれるようになっています。

経営管理会計トピック_花王_連続増配_数表 
経営管理会計トピック_花王_連続増配_グラフ
まず、「配当金」ですが、FY00からFY13にかけて、2.4倍になっています。ただし、1株当たり配当金は2.9倍になっています。この差は、自己株式取得により、「配当金支払対象株式数」が減ったことによります。実際に、自己株式を消却していますし、保有自己株式には配当は支払われませんので(会社法453条)。そのことは、配当対象株式数がFY13に「84」と、FY00比で、16%減少したことに表れています。

では、上記の配当関係の伸びが、利益成長の当然の帰結なのか、次に確認してみたいと思います。

「当期純利益」は、FY00に比べて、FY13で「109」。FY04までは利益成長があったのですが、それ以降は目立って当期純利益の総額は増えていません。むしろ、リーマンショック以降は指数が「100」を切っています。

「利益剰余金(Net)」は、FY13に「137」となっており、FY00比で37%増加していますが、前年からは17ポイント減少しています。この「Net」というのは、「利益剰余金」から保有「自己株式」価額を差し引いたものを意味しています。この17ポイントは自己株式取得が影響しているとお考えください。

つまりですね、FY04ごろまでは、利益成長に伴った増配だったのですが、それ以降は演出されている可能性が高いということです。「当期純利益」や「利益剰余金(Net)」の伸び率とはどんどん開きが大きくなってきています。

貸借対照表の借方の固定資産増(につながる設備投資など)は、いくらやってもらってもいいのですが、究極的には、フローの当期純利益増か、ストックの長期的累積利益である利益剰余金増につながっていないと、実質的に企業価値が増大しているとは言えないと思いますが如何でしょうか?

逆に言えば、最高の「アナウンスメント効果」が発揮され、IR的には大成功している、のだと思います。

最後に、花王の経営陣に対するストックオプションがどれだけ実行されているかご存知ですか?
(そりゃ、見かけ上の株価はどんどん上昇していってもらわないと損ですよね!)

表面的な報道だけでなく、数字をちょっと検証してみれば、誰のどんな意図で作られた財務数字なのか、理解が進むのではと思います。

(ちょっと(?)オブラートに包んで書いているので、分かりにくかった人は、問い合わせフォームから質問してください。個別にコメントさせていただきます)



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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 小池龍之介(9)

■ 第三章 言い訳しない その1

コンテンツガイド

43.知人が高く評価されるとなぜ反射的に否定したくなるのか

44.妬みはごく自然な感情、恥ずべきことではない

45.勝手にライバルを仕立てて妬んでしまう心に要注意

46.誉められても喜ばず、貶されても嘆かないように

47.「心を保つ」前に、まずは「体を保つ」べし

48.「体を保つ」基本は、食事を腹七分目にとどめること

 by 月読寺・正現寺住職 小池龍之介

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誉められたら素直にうれしいけどなぁ~。まあ、浮かれるな、ということか。。。
つい食べ過ぎてしまうんですよねぇ~。特にこの季節は。「忘年会」やら「新年会」で。

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レピュテーションリスク(2) コミュニケーションとガバナンス

■ 顧客との対話力

経営管理会計トピック
↑どこかの英会話学校の宣伝文句のようですね。(笑)

前回」は、危機管理の際の優先順位、「法的責任を明確にすること」と「顧客の安心安全を重視すること」のいずれが大事か、そしてその判断を誤らないためには「従業員への顧客優先の行動指針の浸透」がポイントというお話をしました。

今回は、「顧客との対話力」「企業内での意思決定の仕方」についてお話ししたいと思います。

2014/12/18|日本経済新聞|朝刊
(ビジネスTODAY)タカタ、部品追加増産1年内に CEO「米世論に思い伝わらず」 火薬管理「不備あった」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「高田CEOは「こちらの意図がうまく伝わらなかった。リコール拒否というイメージが広まってしまった」と語った。米運輸省・高速道路交通安全局(NHTSA)とは対立する意思はなく、「安全を最優先するという姿勢は以前から変わっていない」と語った。」


2014/12/21|日本経済新聞|朝刊
ソニー・ピクチャーズCEO「大統領は誤解」 リスク管理もろさ露呈


「「大統領は誤解している」。ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)のマイケル・リントン最高経営責任者(CEO、写真はロイター)は19日、米CNNでオバマ米大統領の批判に対して反論した。11月下旬に大規模なサイバー攻撃を受け当局とハッカー対策で連携してきたSPEは名指しの批判に困惑を隠せないでいる。

 金正恩第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開中止を求めるハッカー側からテロ予告があったのは16日。これを受け、全米の映画館は相次いで公開中止を決めた。このためSPEは25日公開への準備を止め、配給を見送ることにした。

 こうした経緯からSPE側には公開見送りを強要したわけではない、との思いが強い。だが、オバマ氏には「(公開見送りは)誤り」と頭ごなしに批判された。

 米メディアではサイバー攻撃で流出したSPE幹部のメールの中に、オバマ氏に対する人種的な配慮に欠いた文言や大物女優を「ほとんど才能がない」などとした表現が含まれたことが、大統領のSPE批判を後押ししたとの見方がある。

 SPEの対応のまずさもある。経営トップのリントンCEOが公の場で発言したのは、19日が初めて。事件発生から25日が経過している。その間、情報流出や脅迫が相次ぎ、ハッカー主導で情報戦が展開されたことで、SPEを取り巻く環境は日ごとに厳しくなった。」


2014/12/28|日本経済新聞|朝刊
ペヤング、虫1匹に巨額代償 鶴の一声で生産全面停止


「まるか食品によると、設備の刷新には「2ケタ億円はかかる」。生産停止中の機会損失、返品費用など一連の負担は数十億円に達する見込みだ。ただ、虫1匹でここまで追い込まれた一因は、まるか食品の初動のまずさにもある。

 始まりは商品購入者によるツイッターへの書き込み。麺にゴキブリのような虫がからまっているように見える写真は衝撃的で、ネット上で大きな話題になった。

 購入者とのやりとりがネットで公開されると「対応がなっていない」とネットで炎上。この事態を受け、まるか食品は一部回収を決めたが、外部機関の検査によって「製造過程で混入した可能性は否定できない」となり、全面回収に。「回収が遅れたことは事実」と同社も認めるほど対応が後手に回り、イメージ悪化に歯止めがかからなくなっていた。そこに出てきたのが「生産全面停止・設備刷新」の経営判断だった。」


以上、少々引用が長くて申し訳ありませんでしたが、つまるところ、3社とも、事が起きたときの初動のまずさ、誤解を生じさせてしまう説明能力の不足が共通の敗因です。

ソニー・ピクチャーズは、映画の上映権は、映画館経営会社にあるのに、世間的には同社が上映中止を決定し、「表現の自由」なる自由民主主義の錦の御旗に傷を付けた張本人に仕立て上げられ、さらに、サイバー攻撃の事態収拾をする当事者能力に欠けている、とまで論評されてしまう始末。サイバー攻撃への対応は、軍を含む当局の責任ですよね。

「白」を「黒」とまで言い切ることのできるディベート能力に長けた人材は米国には豊富にいらっしゃるのに、うまく大統領と共和党からの責任転嫁を回避できませんでしたねぇ~。

また、まるか食品については、マスコミ対応が一担当者にすべて任され、会社の顔である経営者が表に出なかったことが批判されています。マスコミへの露出の仕方ひとつとっても、レピュテーションリスクを能動的にコントロールする姿勢が問われたわけです。簡単に言うと、記者会見のひとつでもすぐに開いて、頭を下げればいいじゃないですか。それができないんですね。お客様への誠意を示す心を常に持っていれば、自然と行動に表れるはずです。


■ ガバナンス(統治体制)の不備を責めるのは簡単です

不祥事・不始末が起これば、企業の場合、どうあっても組織体制や指揮命令系統が批判の的とされてしまいます。

2014/12/26|日本経済新聞|朝刊
ソニー、統治体制に課題 金正恩氏題材の映画を一転公開 エンタメ部門「一本化」でも リスク管理機能不十分


「CBSレコードやコロンビア映画の買収などを経て事業領域を拡大してきたソニーのエンタメ部門。現在は米ソニー傘下にある統括会社ソニー・エンタテインメントに映画、音楽、音楽出版の3社がぶら下がる。複雑な構造にメスを入れたのは2012年に平井氏がトップに就任してからだ。

 米ソニーと統括会社、SPEのトップをハーバード・ビジネス・スクール出身のマイケル・リントン氏が兼任し、命令系統を一本化した。敏腕プロデューサーのエイミー・パスカル氏、ビル・クリントン元大統領の顧問弁護士だったニコール・セリグマン氏と豪華な顔ぶれが並ぶ経営陣も大統領の批判という異例の展開にリスク管理機能を十分に発揮できなかった。

 米国では「ソニー」の問題と注目されているにもかかわらず、対外的な情報発信の窓口はSPEに一本化。前面に立たないソニー本社への風当たりは強い。」

2014/12/25|日本経済新聞|朝刊
タカタ、社長が退任 高田会長が兼務 報酬を一部返上


「タカタは24日、同日付でステファン・ストッカー社長(61)が取締役に退き、高田重久会長兼最高経営責任者(CEO=48)が社長を兼務する人事を発表した。同社製エアバッグを巡り、世界の自動車メーカーが大規模リコール(回収・無償修理)を迫られている。交換部品の増産投資などを迅速に決めるために、創業家出身の高田氏に権限・責任を集中させる。」

果ては、規制当局の人手不足まで、批判の矢面に立たせられています。

2014/12/26|日本経済新聞|朝刊
タカタ製エアバッグ問題 米当局へも不信向かう 規制強化、体制追いつかず 対応にぶれ、機能不全も


「タカタ製エアバッグの欠陥問題を巡り、監督官庁である米運輸省・高速道路交通安全局(NHTSA)への不信が米国民の間で募り始めた。情報の解析や開示が遅れ、リコール(回収・無償修理)対応がぶれているためだ。規制強化にNHTSAの人員増が追いつかず、機能不全に陥っているとの指摘もある。」


■ 最後はトップの判断

オーナー会社の経営意思決定のスピードには驚嘆することがままあります。まるか食品も、丸橋オーナー社長が鶴の一声で「生産全面停止・設備刷新」が決まりました。オーナー経営には副作用も大きいのですが、こうした危機発生時の意思決定のスピードは大したものです。

一方で、タカタは対応が後手後手に回ってしまいました。そして、創業家が社長兼任という形になりました。ストッカー氏に危機管理の権限を集中させていても、最後は創業家ということです。

ソニーは、何階層にもわたる統治構造の機能不全を指摘されました。

似たようなサラリーマン経営者の会社の話は、この手の話でもあります。

2014/12/23|日本経済新聞|朝刊
キリンほろ苦 体制見直し HD社長に磯崎氏、反転攻勢へ グループ一体で営業力


「キリンホールディングス(HD)は22日、傘下のキリンビールの磯崎功典社長(61)が2015年3月末に社長に就任すると正式発表した。新体制の目玉は、磯崎氏が中間持ち株会社キリンのトップを引き続き務め、一体運営すること。キリン再興を担ったはずの中間持ち株制を2年あまりで見直すのは危機感の表れだ。自ら「欠けていた」と指摘する機動力を高めることができるか。

人事政策でキリンHDとキリンがそれぞれ担当役員を置くなど、指揮系統や責任の所在がはっきりしないケースがあった。「両社の情報共有などが遅れ、迅速な経営判断につながらない面があった」(三宅氏)。実際、営業では大手外食チェーンとの取引を競合に奪われるなど、厳しい状況が続いた。」

企業って、家族などとは違い不自然に大人数が集まって、一つの組織を形成しているわけです。

(「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」の違い)

組織構成員の意識合わせと全体行動の方向付け、不自然に集まった人達の行動をどうやって組織目標の達成に向けて効果的に機能させるか、その指示出し能力がトップの資質として問われるところです。

企業グループを率いる人は、そもそも会社組織は不自然に人が集まったものだという認識から始めては如何でしょうか?

不自然に集まった人達を動かすにはどうしたらよいか? 
いつまで、創業家のカリスマ的支配にばかり頼っていてはだめですよ。

 



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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 小池龍之介(8)

■ 第二章 イライラしない その4

コンテンツガイド

38.正義を声高に叫ぶ人はなぜうさんくさいのか

39.まず相手の甘えを受け止めれば対話の質は向上する

40.自分の考えを返す前に「そうですねえ」とひと呼吸おく

41.毎日たまる「聞いてもらえない寂しさ」が怒りに転じる

42.「興味あるフリ」「聞いているフリ」はすぐバレる

 by 月読寺・正現寺住職 小池龍之介

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みんな自分の話は聞いてほしいんですよね~。
私は、上司とクライアントと泣く子と地頭には勝てないですねえ~。


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レピュテーションリスク(1) 危機管理時の優先順位

■ ブランドを毀損させる企業の行動

経営管理会計トピック
2014年下半期も、レピュテーションリスクにさらされた企業事件が複数発生しました。

「レピュテーション‐リスク(reputation risk)

企業に対する否定的な評価や評判が広まることによって、企業の信用やブランド価値が低下し、損失を被る危険度。評判リスク。風評リスク。」

(デジタル大辞泉の解説より)

レピュテーションリスクを計数的に評価し、その対応策とのバランスで企業業績へのインパクトを考量する領域が管理会計にも実際に存在します。今回は、そうした損得計算の前に、マスコミの報道にまつわるお話をしたいと思います。

1.タカタ 「エアバックのリコール」
2.ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 「ザ・インタビュー上映延期」
3.まるか食品 「ペヤング自主回収」


■ 法律的に誰が有罪(有責)かは問題ではない!?

最初は、タカタのエアバックのお話から。

2014/12/19|日本経済新聞|朝刊
タカタの衝撃(上) 米消費者意識を読み誤る リコール、世界2000万台超 業界の論理に不信広がる

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

タカタ製エアバッグに関連する初のリコールは08年にホンダが実施した4千台のリコールから始まりました。米国で複数のエアバッグが異常破裂したことから、エアバッグを膨らます火薬の湿度管理が不十分で異常破裂した際に火薬を入れる金属製容器が飛び散る欠陥が見つかったからです。

その後、09年には前年のリコールで対象外だったエアバッグが異常破裂し、初めての死亡事故が米国で発生し、の後も米国で死傷例が続きました。

ここで、事態を重く見た米議会は問題解決を求める世論に押される形で公聴会を開くことを決定。その際、米運輸省・高速道路交通安全局(NHTSA)とやりとりした書簡で、

1.リコール(回収・無償修理)は本来完成車メーカーが実施するもので、部品メーカーのタカタがリコールの是非をどうにかするものではない

2.原因が特定できていない以上、09年以降の事故については欠陥を認定できない。欠陥を認めていない『調査リコール』については対応できない

※ 調査リコール:不具合の原因を特定するためのメーカーの自主的な措置

と主張した内容に対して、ユーザの安全性への配慮がないと米国民の怒りの世論に火がついてしまいました。

えーとですね、確かに「リコール」は最終的に消費者にモノを販売した会社に法的な実施責任があるのですが、その最終品を構成する部品を供給した会社にも、等しく「製造物責任法(PL法)」にて、製造物責任を負い、消費者に対して無過失責任を問われます。

※ 製造物責任:製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害賠償をする責めに任ずる

したがって、世の中には、こうした場合にも対応できるように「リコール保険」なる金融商品が存在するわけです。

以下、マーシュ ジャパン株式会社のホームページから引用します。

------------------------------------------
リコールの実施を最終的に決定する主体は完成品メーカーです。ただし、その原因となる欠陥が完成品メーカーにとって第三者の部品メーカーが供給する部品に存在する場合、部品メーカーは完成品メーカーからリコール費用の一部もしくは全部について求償を受ける可能性があります。リコール保険では、完成品メーカーがリコールで生じた費用を補償する保険契約をFirst Party Recallと呼び、部品メーカーが完成品メーカーに対するリコールの損害賠償責任を補償する保険契約はThird Party Recallと呼び、保険引受け上区別して取扱われています。

 リコール保険の引受け方法は保険会社により異なります。リコール(費用)保険として単独の保険契約として引受けられるケースと、製造物賠償責任事故との関連性が高いことから製造物賠償責任(Product Liability)保険の特約(追加オプション)として引受けられるケースの2種類があります。
------------------------------------------

管理会計の一領域でもあるように、レピュテーションリスクを計量化して、保険をかけてそのリスクをカバーしておく。上記のような保険商品が用意されているということは、部品会社のリコール付随責任も、単独のPL責任も、素早く対応してユーザの信用を失わないようにする - これがいたって通常の行動原則であることを証明しているのではないかと思います。


■ 本当にあの事件の教訓を経営者は学んでいるのか?

こうした危機管理の話題が持ち上がるたびに決まって取り上げられる伝説があります。

2014/12/8|日本経済新聞|朝刊 春秋


「企業向けに書かれた危機管理の教科書を開けば、必ず出てくるのがタイレノール事件である。1982年、米国の製薬会社ジョンソン・エンド・ジョンソンの主力商品だった解熱鎮痛剤タイレノールに、何者かが毒物を混入した。シカゴ周辺で、少女ら7人が死亡する。

会社は原因がはっきりしないうちからリコールに踏み切る。新聞やテレビで繰り返し呼びかけ、全米で3100万個を回収した。大きな損失を出したが対応は好感され、ほどなく売り上げも回復する。

危機管理に詳しい弁護士の中島茂さんは、これまで苦悶(くもん)の表情でリコールを決断する経営者を何人も見てきた。それでも判断基準はただ1つ。ユーザーの安全である。鉄則は「迷うならリコール」なのだという。」

この事件は、WiKiにも堂々と記述されているのですね。

-------------------------------------
この事件でジョンソン・エンド・ジョンソンは「タイレノールにシアン化合物混入の疑いがある」とされた時点で迅速に消費者に対し、125,000回に及ぶTV放映、専用フリーダイヤルの設置、新聞の一面広告などの手段で回収と注意を呼びかけた(1982年10月5日、タイレノール全製品のリコールを発表)。およそ3100万本の瓶を回収するにあたり約1億USドル(当時の日本円で約277億円)の損失が発生。事件発生後、毒物の混入を防ぐため「3重シールパッケージ」を開発し発売。この徹底した対応策により1982年12月(事件後2ヶ月)には、事件前の売上の80%まで回復した。

ジョンソン&ジョンソンには「消費者の命を守る」ことを謳ったわれらの信条(Our Credo)という経営哲学があり、社内に徹底されていた。緊急時のマニュアルが存在しなかったにもかかわらず迅速な対応ができたのはこのためである。
-------------------------------------


■ 効果的な危機管理対策は従業員のマインドの中に

「クレド」「行動指針」が従業員を迅速な対応に導きました。この類のお話は、世の中にごまんとあって、たとえば、東日本大震災時のオリエンタルランド(東京ディズニーランド・ディズニーシー運営会社)が、帰宅困難者に対していかに迅速で適切な処置を施したことか。時には現場マニュアルに違反することまで、現場の担当者(ほとんど9割はアルバイト(キャスト)ですよ!)の判断で行われました。

こういうところで、企業ブランドの評価は決まってしまうんですよね。ディズニーランドはこの春に値上げしましたが、客は離れるどころか、入場者記録更新中ですもんね。

目の前の「金勘定」と顧客からの「信用」。

どっちが企業にとっての成長と利益の真の源泉なのでしょうか?

次回は、そうした判断ができる/できない、という話をもう少し深堀りしたいと思います。



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西岡常一ら著「木のいのち木のこころ」(3) 2014年12月23日 日経新聞(朝刊)より

■ 器用は器用に溺れる 「不器用」に没頭してこそ

コンテンツガイド


「不器用の一心に勝る名工はいない」

「一つひとつ納得いくまでやって階段を昇る。体が時間をかけて覚え込む。いったん身についたら、今度は体がウソを嫌う。」

「基礎の段階ではある期間、ただただ浸りきることが大事。寝ても覚めても仕事のことしか考えない。一つのことに打ち込むことで人間は磨かれる。理屈や知識は要らない、むしろ、邪魔。素直な気持ちで、言われた通りにまずはやってみる。素直で自然体な中から、道が見つかる。」

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熟練工の技、ロボで伝承 オムロン、サイバーダインと開発

■ 日本の宝、熟練工が不要になる!?

経営管理会計トピック
前回」、人工知能がホワイトカラーの仕事を奪う可能性がある、という警鐘を鳴らした投稿をいたしました。引き続き、今回は、日本の製造業が世界に誇る熟練工まで必要なくなる恐れがある新聞記事をご紹介します。

2014/12/25|日本経済新聞|朝刊
熟練工の技、ロボで伝承 オムロン、サイバーダインと開発

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「オムロンとCYBERDYNE(サイバーダイン)は24日、工場などの作業を支援する次世代型ロボットの開発で業務提携したと発表した。装着した熟練技能者の筋肉の動きを読み取り、若手らがそれを再現できるよう伝える「ロボットスーツ」などを5年程度かけて共同開発する。一般産業のほか、医療・健康分野での実用化も探る。」


■ 他業種のコラボレーションは「インダストリー4.0」として大歓迎だが...

クラスター資本主義 v.s. 国家資本主義 v.s. 企業資本主義(1)」にて、各社が自社の得意領域の技術を持ち寄って、1社では到達できない価値を生み出す(いわゆるシナジーということ)ことで、自社利益増進と社会変革を引き起こす、という動きがドイツで活発になっていることをお話ししました。

いやいや、日本でもこうしたコラボレーションが起きていること、大変歓迎すべきです。

「サイバーダインは人が筋肉を動かす際の信号を読み取り、動作を補助する装着型ロボットを開発している」

一方で、
オムロンは、FA(ファクトリーオートメーション)の領域で、工場の自動化のため、センサー・コントローラー・それらの現場機器をつなぐネットワーク機器を含めて、工場の自動制御技術にたけた企業です。

こうした企業が業務提携をして、世の中に新しい技術革新をもたらすこと、それ自体は大変素晴らしいことです。


■ 両社の業務提携内容を少し垣間見る

オムロンのプレスリリースから引用させていただきます。

業務提携の概要として、

「本基本合意により、オムロンは自社のネットワークサービスを活用し、サイバーダインのHAL®介護支援用(腰タイプ)、HAL®作業支援用(腰タイプ)、搬送用ロボット、およびクリーンロボットの販売促進と保守サービスを提供してまいります。また、両社は近未来における人と機械が融和する社会の実現を目指し、サイバーダインの強みであるサイバニクス技術と、オムロンの強みであるセンシング&コントロール技術を活かしながら、共同で"生産革命"に関する事業を推進します。」

従来は、サイバーダインの装着型ロボットは、たとえば介護士の補助機器などとして、マスコミで取り上げられましたが、産業へのインパクトとしては、日本のものづくり現場での生産者補助の方が圧倒的に大きいものなります。

提供製品は大別して2つあります。
(プレスリリースとは紹介の順番が逆ですが)

「搬送用ロボット/クリーンロボット

搬送用/クリーンロボットは、1)環境認知、自動マッピング機能、2)ティーチングプレイバック機能という二つの特徴を持ちます。ロボット自ら環境を認知し、自動で周囲の地図を生成し、どのように動いて搬送/清掃するかを自動的に、あるいは人がパッドで設定して実行します。初めに現場でロボットに直接どのように動いたらよいかを教えることで、その直後からロボットは教えられた通りに動くのです。
従来型の製品とは異なり、誘導線(磁気テープ)が不要なため容易に導入可能であり、導入後は工場のレイアウト変更等にも柔軟に対応可能です。ロボットの導入により工場の自動化を推進し、生産性を高めます。」

⇒こちらは、前回お話しした、「人工知能」につながるお話です。自動搬送ロボットは、最初に動きをプログラミングする必要があるのですが、人間の脳と同じように、全ての例外処理(障害物、不良品など)や、環境適合(気温、湿度、大気物質濃度、騒音など)は、あらかじめインプットしきれるものではありません。

そこで、これに「人工知能」を搭載して、自己学習をさせるわけです。あらゆる情報を処理し、そして自律的に学習して応用範囲を広げるとともに、最適化をはかる。単純作業による品質低下防止や、大量生産のための繰り返し生産の生産性向上には、もってこいです。


「HAL®介護支援用(腰タイプ)/HAL®作業支援用(腰タイプ)

HAL®腰部負荷軽減用は、重量物を持ったときに腰部にかかる負荷を軽減することで、腰痛を引き起こすリスクを減らします。これまでの重作業を楽に行うことができるため、病院・介護施設や作業現場での労働環境改善、労働災害防止への活用が期待されています。」

⇒これが、今回のポイントです。

新聞記事より、

「サイバーダインは人が筋肉を動かす際の信号を読み取り、動作を補助する装着型ロボットを開発している。これを生かしてオムロンと熟練技能者の技能伝承に役立つスーツなどを開発する。」

つまりですね、これまでは熟練工が何十年も修業を重ねて習得してきた所作をすべてセンサーで読み取り、精巧なアクチュエイターを用いてその動きを一瞬にして再現して見せる、ということです。

熟練工の修業の結果を次の若者に教え込むためのトレーニングコスト、と習得にかかる時間を一挙に節約できるということです。短中期的には、加工・組立を主にやっている製造業にとっては、大変なコストダウンが見込まれることでしょう。

マイスター(熟練工、師匠)の「技」をロボットに一度教えればいいので。1台のロボットに一度教えれば、ネットワークを用いて瞬時に複数のロボットに情報を伝達し、同じ所作を再現して見せることはいたって容易ですから。


■ そして次世代の熟練工がいなくなる日がやってくる

企業が目の前のコストダウン、熟練工の技術伝承の悩みの解消、これを「人工知能」を搭載した「精密ロボット」で一挙に解決する、それ自体は何も罰せられる行動ではありません。むしろ、危険な製造現場での作業で、身体生命の危険を回避でき、人権視点からは歓迎すべきことかもしれません。

ですけど、技術というものは、絶えず革新していくものです。一人一人の熟練工も、先輩や師匠から教わったことを、自分なりに発展・昇華させて、次世代に伝えてきました。そうした連綿とした営みがあったからこそ、生産現場での技術革新が幾度となく生まれたわけです。

「守破離」
人工知能がお得意の自己学習で、人間が何十年もかけて会得した技能の「カイゼン」を再現できるのでしょうか?

「全体最適」
工場の現場は、それを運用する現場のプロ達の巧妙な連係プレーで高い生産性を保持しています。そうした各部門に渡る高度なコミュニケーションを「人工知能」が代替できるのでしょうか?

残念ながら、これらの解決は、時間の問題だと筆者は考えています。それだけ「人工知能」の技術の進歩が速いと推測できるからです。

ただし、問題はひとつあります。一人の熟練工の世代だけで、「人工知能」に全てをスキル・トランスファーできないということです。まさに「時間軸」の問題。まだまだ複数世代の熟練工による「人工知能」へのインプットとカイゼンは必要でしょう。

その場合、人工知能にスキル・トランスファーしながら、若者にも次世代の熟練工としての鍛錬の場を提供することが必要だということです。今後、経営者は、そのバランスをどの辺に持っていくか、その優劣がものづくり企業の競争力につながるものと思います。


■ これって管理会計にどう関係するの?

管理会計的には、どういうインパクトが生じるのか? 人工知能とIOTの組み合わせで、おそらく、

代理変数を使ったわけのわからない「配賦計算」は消滅することでしょう。「ABC(Activity Based Costing)3.0」が起こり、「人工知能」が工場現場の最適化を提案し、生産性が飛躍的に向上していくでしょう。

そうです。こうした全体のコストダウンや生産最適化をすすめる仕組みづくり、これだけはしばらく人間の仕事として残りそうです。

よかった。まだ経営コンサルは仕事がありそうです。でも、問題は、筆者がそうしたテクノロジーを使いこなすだけの提案ができるかどうかです。

まだまだ修行すべきことが多いようです。


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