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(私の履歴書)坂根正弘(2)

■ 経営のヒント - コマツ 坂根正弘氏に学ぶ(続き)

経営管理会計トピック
前回に引き続き、2014年/11月のコマツ、坂根正弘相談役による「私の履歴書」連載へのコメントになります。読者の方もまた一緒に唸(うな)ってもらえればと思います。

2014/11/1~30付 |日本経済新聞|朝刊
(私の履歴書)坂根正弘

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

筆者の共感振りが読者の皆様とも共有できればよいのですが。。。


■ 思わず唸ってしまった箇所(抜粋その2)

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2014/11/21 現地化の限界
当時交流のあった社外の米国人の一人にデトロイト・ディーゼル社のペンスケ会長がいた。弁舌さわやかで指導力に富んだ米国産業界で著名な人物だったが、その彼が「どんな優れた経営者もQCDの問題は解決できない」と漏らしたことがある。

 QCDとはクオリティー(品質)、コスト(費用)、デリバリー(納期)の頭文字で、製造現場の実力を測る最も重要な指標だ。ところが、ペンスケ会長によると、経営トップがいくら旗を振っても、それだけではQCDは改善しない。現場がやる気を出して、地道な努力を日々重ねることが絶対条件。その意味で「ボトムアップの弱い米国企業には限界がある」というのが彼の嘆きだった。

 米国のエンジニアと接する中で分かったのは、新機種の設計などを手掛ける開発技術者と工場の設備企画や改善を進める生産技術者の間にはステータスの違いがあって、前者が後者より上位という感覚があることだ。
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現場力による経営課題の解決。ミドルアップ。開発技術者と生産技術者間のシームレスな移動と密接なコミュニケーション。全て従来の日本の製造業の強みの理由。3Dプリンターの登場や、熟練工の減少。日本企業の「ものづくり」はこれからも変容せずにグローバル競争に勝っていけるのか。変えるべきところと守るところ。その違いが分かれば苦労はしません。

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2014/11/22 撤退論
一度こんなことがあった。KDCの鉱山機械の責任者の家にディナーに招かれたとき、彼がしばらく離席した。聞くと「資源メジャーのトップから電話があって、いろいろ相談に乗っていた」という。マイニング(鉱業)の世界は非常に狭い世界で、メジャーと呼ばれる少数のプレーヤーが取り仕切り、関係者は顔見知りの間柄だ。鉱山機械の売り込みには、こうしたインナーサークルに入らないといけないが、当時のコマツにそんな人脈はない。

 「技術があれば何とかなるというのは日本人の最大の誤り。ここでやめると永遠に再参入できない」と主張して、事業の存続を認めてもらった。その後、21世紀に入ってからの資源ブームで、鉱山機械がコマツの稼ぎ頭になったことを知る人も多いだろう。

 一般に建機の買い手である建設業界の信用はあまり高くなく、銀行に融資を頼むと、高い金利を覚悟しないといけない。だが、私たちの販売店は個別の建設会社の内実がよく分かっているので、「この会社はしっかりしているから、少し安い金利でも大丈夫」と判断できる。

 お客様にとっては低金利でローンが組め、販売店やメーカーは販売促進効果も期待できる。いわゆる「ウィン・ウィン」の関係であり、これを横展開しない手はない。今では日本を含む全世界でコマツは販売金融を手掛け、融資残高は6千億円規模に達している。
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唸りポイントは2つ。
グローバル市場で勝つということは、結局、個々のローカル市場で勝つということ。

製造業とサービス業の垣根は無くなりつつある。ハードの売り切りビジネスモデル以外の道を模索した方が良い製造業はきっと多い。

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2014/11/23 技術本部長
 人の流動性が高い社会では、ITの担当者も頻繁に入れ替わる。そんなところでコマツ専用のオーダーメード(注文服)システムを使っていると、担当者が変わるたびに日本から専門家が出張してきて、一からシステムのイロハを教えないといけない。

 その点、米国の合弁相手だったドレッサー社はSAP社の基幹システムを採用していた。これはいわば標準化された既製服のようなもので、ITの専門家であればたいていは使いこなせる。そこで米国では会計についてはコマツのシステムをやめて、SAPに一本化することにした。

 技術には他社と差別化するための戦略技術と、日々の業務を粛々と進めるための基盤技術がある。前者について独自性を追求するのは当然だが、後者まで自前主義、独自主義にこだわると、社内でしか通用しないガラパゴス的な世界が形成され、特にグローバルオペレーションの効率が悪くなる。コマツ独自の業務システムはその典型だった。

 むろんITでも独自技術にこだわるところはこだわった。今コマツはオーストラリアとチリの鉱山で無人ダンプトラックの運行管理システムを提供しているが、競合に先駆けて可能になったのは、モジュラーマイニングシステムズという米企業を買収し、彼らの通信インフラとソフト技術をうまく活用したからだ。既製服とオーダーメードをどう組み合わせるか、それが技術経営のポイントである。
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ITって難しい。結局、それを使う「ヒト」とそれを使って提供する「顧客価値」が何かによって答えは変わる。多分、王道は無い。自社の「ヒト」と「顧客への提案価値」を考え抜くだけ。

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2014/11/24 コムトラックス
 話を戻すと、提案のきっかけは当時流行していた「たまごっち」だった。たまごっちはゲームのキャラクターが「おなかがすいた」などと訴える。それと同じく建機自ら「自分はここにいる」「燃料が残り少ない」といった情報を出すようになれば、便利ではないか。こんな提案が福井の販売店からあり、それを彼が当時の技術的可能性も調べた上でとりまとめたという。

 私も「これは価値あるシステムだ」と直感した。サービス畑が長かった経験から、建機の保守管理のたいへんさは身にしみて分かっている。多数の建機を保有するレンタル会社は、機械の場所管理が自動的にできるだけでも大助かりだ。防犯にも役立つ。建設機械の盗難は昔からよくあるが、機械の居場所が分かれば、それも難しくなる。

 成功の要因はいくつかあるが、現場のニーズから開発が出発し、用途やビジネスモデルの構想が明確だったこと、関係者のネバーギブアップの精神、さらに自社技術への過度のこだわりを捨て、圧倒的に進んだ米国の情報通信技術など外部資源をうまく活用したことが挙げられる。やや手前味噌ながらコムトラックスの軌跡には、国レベル、企業レベルのイノベーションを成功に導くヒントがたくさんあると思う。
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「コムトラックス」の誕生の秘密は「たまごっち」にあり。そしてそれは福井の販売店からの提案から始まった。2度びっくり! 全てのカギは現場・お客様の声にあり。これの繰り返しであることを再確認。そして、坂根氏がサービス(クレーム処理)畑であったことも大きい。

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2014/11/25 逆風下で社長に
 そこで実施したのが生産コストの「見える化」だ。コマツの国内工場と海外7工場で生産する同一機種の建機を変動コストに絞って詳細に比べると、通念に反して国内拠点のコスト競争力は高く、米国工場との比較では1ドル=70円ぐらいの超円高にならない限り、国内のコスト優位は揺るがないことがわかった。

 コマツは今もエンジンなど重要部品はすべて日本で生産し、海外の拠点に輸出している。建機は自動車のような大量生産品ではないので、基幹部品を1カ所で集中生産する利点が大きいからだが、日本の生産性の高さがその裏付けである。

 ところが、米国の競合会社と比べると、コマツの利益率は慢性的に低かった。生産コストでは勝っているはずなのに、なぜ利益で劣るのか。

 この問いを突き詰めて明らかになったのが、固定費の高さだ。景気に波がある中で雇用を守ろうとすると事業多角化と称して拡大志向に走り、気が付けば不採算事業と非効率な間接業務で固定費が肥大化していた。そこで「一度限りの大手術」に乗り出すことを決断した。

 1100人の希望退職や1700人の子会社への転籍を実施し、当時のコマツの社員の15%近い人たちが何らかの痛みを被った。雇用の受け皿としてたくさんつくった子会社も大幅に整理し、ウエハー事業を含む多くの事業を手放した。つらい決断だったが、逃げることのできない決断だった。

 「大手術」を経ることで、売上高に対する固定費比率は米国の競合と同水準になり、営業利益率でもほぼ互角、というより最近は建機事業に限定するとコマツのほうが高いことが多い。世界を舞台にライバルと正面から競争できる基盤がようやく整ったのだ。
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「固定費」「固定費」「固定費」。不稼働費や操業度の問題と思いきや、内容をじっくり考えると、雇用の問題だった。余剰人員は、再教育して成長事業では活用できなかったのか?それとも職種転換中の人員をいったん受け入れるだけの収益力もなかったのか?

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2014/11/26 言葉力
 その一つが「ダントツ商品」の展開だ。新機種を企画する際は開発や生産、営業、サービスなどの各部門が一堂に会して、合意形成をする。その際は「ここが競合に比べて劣っている」といった議論に終始してどんどんカドがとれていき、最後に出てくるのは平均点より少し上の面白みに欠ける商品群となる。

 そこで私は営業と開発の責任者を呼んで、「新機種を開発するときは、最初に何を犠牲にするか決めろ」と指示した。競合に負けてもいい部分を最初に決めておき、浮いた経営資源を「環境」「安全」「情報通信技術」の重点分野に投入する。いわばメリハリ路線だが、こうして生まれた商品の一つがエンジンとモーターを併用するハイブリッド油圧ショベルだ。
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5日のコラムと同様。尖がった商品でないと競争に勝てない。

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2014/11/28 ブランド構築
 その中で、つくったモノを売るのが「セリング」、顧客のニーズに合ったモノを売るのが「マーケティング」、売れ続けるための仕掛けをつくるのが「ブランディング」と定義し、コマツでないと困る度合いを高めることで、お客様から選ばれ続けるパートナーを目指している。

今私たちが期待しているのは「情報化施工」という領域だ。先進国ではどこでも熟練したオペレーターが少なくなり、作業員の確保が年々難しくなっている。

 情報通信技術(ICT)を駆使したICTブルドーザーは自動で刃先を動かし、事前に入力した3次元データどおり寸分の狂いもなく整地するのが売り物だ。運転席に人はいるが、機械を前後に走らせるだけで、刃先の微妙な制御など肝心の作業はすべて機械が行う。

 これはとてつもなくポテンシャルのある技術で、例えば水田の田面を平らに地ならしすると均一的な水管理ができるようになったり、イネの種の直(じか)まきが可能になったりするなど、コメの安定的な収穫が期待されるという。

 ICTのパワーを取り込み、新たなビジネスモデルを創り出す。その上で本来の強みである現場力を工場だけでなく顧客の現場にまで広げることができれば、これが日本企業にとって勝利への道であり、コマツにとっても勝負どころだと、最近よく考えるようになった。
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「セリング」「マーケティング」「ブランディング」。ちょっと他と言葉の使い方は違うけど、言いたいことは分かる。要は、コマツでないと代替が効かない、とお客様に感じさせることができたら勝ち。スイッチングコスト云々のレベルではない。

モノのインターネット(Internet of Things、IoT)。全てがつながる。全てが遠隔操作。全てが離れていてもわかる。それが便利。それを提供することに価値がある。

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2014/11/29 デミング賞
 デフレからの脱却が日本経済の大きな課題だが、コマツはいち早く脱デフレにカジを切ったと自負している。その最も分かりやすい例が商品価格だ。「値下がり」が当たり前の時代にあって、コマツは過去10年で建設機械の値段を20%ほど上げた。

 「多少シェアは落としてもいいから、利益をしっかり確保しよう」と方針転換したのがきっかけだが、このことはダントツ活動のように商品やサービスの価値を高める努力につながってきた。同時に、部品メーカーなどいわゆる協力企業との取引慣行も見直した。

 毎年実施していた納入部品の原価低減をやめて、モデルチェンジなど部品図面を変える機会に知恵を結集して部品の値下げを求めることにしたのだ。

 これでグループ全体に利益が行き渡るようになった。ちなみにコマツには「みどり会」という協力企業を集めた組織があるが、そのうち約100社の外注企業の平均の売上高営業利益率は一時7%に達したこともある。コマツと協力企業が共存共栄で前に進む。それがあるべき姿である。
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サプライヤーとの共存共栄。エコシステムの構築。トヨタは「ケイレツ」内で技術情報の共有をして差別化を図っている。ケイレツへの値下げ依頼も現在停止中。勝ち組がやることで何か共通している。

これにて、コマツ坂根氏の「履歴書」への共感コメントは終わりにします。ここまで入れ込んだ「履歴書」は数年ぶりだったかもしれません。






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