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投信成績分かりやすく 通算損益を通知・報告書に簡易版

■ 12月に改正法施行

経営管理会計トピック
改正投資信託法が12/1に施行され、投信の規制が大きく変わることとなりました。今回は、規制対象となる「投資信託」と「株式」の違いを会計知から見てみたいと思います。おかしいですね、投資信託には株式が含まれているはずなのに、何を比較したいのか、、、後で判明します。

2014/10/27付 |日本経済新聞
朝刊投信成績分かりやすく 通算損益を通知・報告書に簡易版

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

新聞記事の趣旨は、次の通りです。
「分配金を出す投資信託は、運用益だけでなく、元本も取り崩して顧客に分配金を出すことが許されている」
「個人客は、元本まで取り崩して分配金が支払われていることを知っているのはアンケート対象の30%の人だけだった」
「改正法により、顧客に分配金を含めた通算損益を定期的に通知する制度が始まり、運用報告書も分かりやすい簡易版が登場する」


■ そもそも「元本」から「分配金」を支払っていいんでしたっけ?

投資信託という金融商品に対する法律的・契約上のことを言っているのではなく、経済合理性があるのか、を問うています。学生時代に「会社法(当時はまだ『商法』でしたが)」を学習した時に、「蛸配当」という言葉、法律的には「違法配当」という言葉を学びました。「本来分配可能な剰余金を超えて、粉飾決算等で配当可能利益を大きく見せかけて、過大な剰余金を株主に配当すること」

法の趣旨としては、会社財産を流出させて、資金的安全性を損ない、会社経営そのものを危うくするため、という理由で、分解可能利益(剰余金)については厳しく規制がかかっています。まあ、会社は株主のものなので、いくら配当しようが構わない、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、一応、会社法は債権者保護の観点から立法されている面があり、債権者としては、いたずらに融資先の財産が社外流出することは回避したいという意を汲んだものになっています。

会計基準の方も、「企業会計原則」の一般原則その3「資本取引・損益取引区分の原則」として同様の縛りが明記してあります。「会計」としては、株主・債権者、双方のステークホルダーの利害調整を目的として、会計を学ぶ最初の方でこの精神に触れるのが常です。

ちなみに、
分配可能利益の計算については、下記ホームページを参考にしてください。
新日本有限責任監査法人
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/companies-act/2011-03-01-01-01.html
  • 自己株式をきちんと考慮した「資本剰余金」と「利益剰余金」が分配可能
  • 「のれん」と「繰延資産」がある場合に特別な制約あり
  • 任意に連結ベースでの配当規制をかけることも可能


■ 「投資信託」を売っている人はどういっているか

参考にしたホームページはつぎの2つです。いずれも、分配金に関する記述を順に抜粋させて頂くと、

投資信託の分配金とは - ニッセイ アセットマネジメント
http://www.nam.co.jp/seminar/basis/toushin/13.html

投資信託はみなさんから集めたお金をまとめて、株式や債券などに投資しています。そしてその株式からは「配当金」、債券からは「利子収入」が入ります。また、株式や債券を売買することで「売買益」も出ます。この「配当・利子収入」と「売買益」の2つの収益が分配金の主な「分配原資」になります。

投資信託の分配金 知っておくべき重要なポイント - ソニー銀行
http://moneykit.net/visitor/fund/fund34_01.html

投資信託は、株式や債券など様々な資産に投資していますが、それらの資産から配当や利子である「インカムゲイン」を受け取っています。また、株式や債券などは価格が変動するため、それらを売買することで値上がり益である「キャピタルゲイン」を得られる場合があります。これらの利益に過去から繰り越されてきた利益を加えたものが分配対象額となります。この分配対象額の中から、ファンドの決算日に投資家に収益分配が行われるしくみになっています。ちなみに、分配金の金額は、投資信託ごとに決められた分配方針に基づいて運用会社が決定しています。

極めて真っ当です。


■ 当局の思惑と実態

当局である金融庁には、ある思惑があります。記事から抜粋すると、

「投信の仕組みを理解しやすくして、投資判断が分配金に偏った市場を是正する狙いだ」
「投信の仕組みを個人が理解しやすいようにすることで、貯蓄から投資を後押しする狙いだ」
「公募株式投信の約6割を占める毎月分配型は退職後に定期収入を求める高齢者に一定の需要はあるものの、「分配金の仕組みが分かりにくく消費者に誤解を招きやすかった」

とあり、現行の投信会社からの商品説明と運用報告が分かりにくいことを改善して、個人客とのトラブルを事前に回避し、さらなる投信の購入を促進し、株式市場の活発化を狙うものの様です。金融庁によるこれまでの行政指導では、元本を取り崩した分配金を「特別分配金」から「元本払戻金」に名称変更するように求めています。

こうすることで、新聞記事では、

「投信選びで総合的な運用力が重視されるようになれば、分配金が少なくても運用成績の良い投信に資金が集まる可能性がある」

とあり、トラブル回避と(真っ当な)投信購入残高を増やす、一石二鳥を金融庁が狙う部分が分かりました。

NISAも含め、豊富な高齢者の個人金融資産(預貯金中心)からの株式投資を促進することで、日本経済の活性化を図りたい金融庁。一方で、高齢者に「年金のように毎月分配金がでて便利ですよ」と売り込みをかける(一部の確信犯的)金融機関。

でもちょっと落ち着いて考えてください。株式投資は相対的にいって、長期間にわたり、かつ余裕資金で実践するもの。高齢者に売り込もうとしている当局にも金融機関にも「『複利』という言葉を本当にご存知ですか?」「個人(それも高齢者)の経済的生活のことを本気で大事に考えていますか?」と問い質したいものです。

そもそも会計屋なら常識の「損益取引と資本取引の厳格な区別」は投信という商品設計では完全無視なのが問題なのでは???

株式投資は、複利効果を狙って、長期的に行うもので、毎月の生活費として一定額の引き出しが必要な高齢者の金融資産を当てにすることはそもそも方向性が違うんではないかなと思うわけであります。筆者も勤務先から「確定拠出年金(401k)に移行します。ついては金融商品の説明会をします」という連絡で、専門家の話を真面目に聞いた経験があります。その時には、「働き盛りの30-40代は、積極的にリスクを取りに行って、株式の構成比率を高めに、年金の引き出し時期が近づき、50代になったら、安全資産に振り替えるべし」と教えて頂きましたが、、、

かのウォーレン・バフェット氏も著書の中で、「税金まで払って配当金を受け取りたくない。内部留保を高めた上で、株式分割をしてもらって、現金が必要になった時には、必要額分だけ所有株を売却するのが一番賢い」と語っていらっしゃいましたが、、、

筆者自身の投資方針ですか? ほぼ全量が長期保有(いわゆる塩漬け)で、配当金は全て奥方へ上納し、生活費の補てんに回されています。全く複利効果は発揮されていないのであります。他人のことを言う資格はありません。。。今回はこの辺でおしまいにします。(^^;)





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